HELP ME!

□HELP.5 イジメ主犯
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「…っ!!許して…くださいっ……!お願いします…」

「許してだってよ、ジロー。どうする?」

「んー?そいつ目障りなんだよね。やっちゃって」


今俺の目の前で繰り広げられているのは明らかにイジメだ。
その主犯格となっているのが紛れも無く俺。


イジメをするのに特に理由なんてない。
強いて言うならウサ晴らし?
ストレス発散になるから楽しいんだC〜。


それに俺は直接的には手を下してない。
いざとなったらしらばっくれる事も可能だ。
それにみんなは俺がイジメの主犯格だって言っても信じないだろう。


「飽きたからもう俺帰るね〜」

『ジロー!』


……それはもちろん彼女の莉奈も含めて。


「莉奈じゃん。どうしたの〜?」

『ジローが屋上行くの見えて来たの。サボりかと思ったけど…屋上入らないの?』

「屋上から今出てきたんだC〜。何か今日は屋上って気分じゃないや」

『……ふーん。じゃあ私は屋上にいるからジローは別の場所いてもいいよ!』


莉奈のこの言葉に流石の俺も焦って、莉奈を違う場所に連れていこうとした。


あの現場を莉奈に見られるのはまずい…。
もし主犯だって莉奈にばれたら…俺はどうなってしまうだろう。


「え、A〜!!莉奈も一緒に中庭行こうよ!俺、莉奈と一緒じゃなきゃ嫌だC〜」

『……どうして屋上じゃダメなの?』

「え…?」

『何かやましい事でもあるのかなあ?』


莉奈の目が冷たく俺を射る。
急に雰囲気の変わった莉奈に俺はただたじろぐ事しかできなかった。


『なーんてね!冗談だよ。中庭行こうか、ジロちゃん』

「う、うん」


あの雰囲気は何だったのか分からない。
でも幸せそうに笑う莉奈とイジメの快楽に溺れて…俺は大切な物を無くして行く。



HELP ME!
(俺を助けて!)
(人の苦痛に歪む顔が気持ち良くて堪らない)
(馬鹿な芥川慈郎)
(いつか完璧なる復讐を遂げるその日まで……)






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