HELP ME!

□HELP.7 ストーカー
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部活帰りの莉奈の後ろをゆっくり付けて行く。
右手にはカメラ。
顔を見られてもいいようにサングラス、マスク、ニット帽を装着している。


怯えて涙目になる莉奈が可愛くて何度もシャッターを切る。
愛してる…愛してるぜ…莉奈。
誰よりもお前が好きなんだ。
初めて俺が愛した人。


莉奈が走って自宅に戻る。
その姿でさえ愛しい。


盗聴器から漏れる莉奈の声が愛しい。
監視カメラの中の莉奈を今すぐに抱きしめたい。


しばらくすると盗聴器から物音が消え、またしばらくすると物音が聞こえるようになった。


「風呂から上がったか…1時間34分27秒…。相変わらずの長風呂だぜ」


いつもの莉奈だったらこれから日課のストレッチをするはず…。
俺もそろそろ家に帰るか。


踵を返そうとすると、急に携帯が震え出した。
危ね…マナーにしといてよかったぜ。


ディスプレイを見ると、そこには愛しいあいつの名前が表示されていた。
あぁ…名前を見るだけでこんなに愛しい。


高鳴る鼓動を抑え、平常心で電話を取る。


「もしもし?どうしたんだ?莉奈」

『宍戸…宍戸…』

「どうしたんだよ?泣いてんのか?」

『私っ…どうしたら…いいの…?』


泣きじゃくる莉奈が可愛いくて、思わず震える。
もっと泣け。俺を思って泣いてくれ。


「…あの例のストーカーのことか?」

『……怖い…。助けて…宍戸……。怖いよ…宍戸にしか頼れないの……』

「大丈夫だ。俺はいつでも莉奈の味方だからよ…」

『し…しどっ…!』


もっと俺を頼れ。
そして俺のことを好きになれ。
お前に釣り合うのは俺しかいねえんだよ。


世界で1番愛してるぜ。莉奈。



HELP ME!
(俺を助けて!)
(全ては君を愛しているから)
(怖いの…怖いの…助けて)
(大好きなあなただから頼るの)






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