for seven days

□FOURday
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大嫌いな数学の授業を苦しい思いで受け終えて次は待ちに待った古典の授業になった。
古典は得意科目だから、毎日古典の授業を受けるのが楽しかったりする。


「莉奈、次サボんで」

『え…』

「サボるやろ?」


財前の急な誘いに引き攣った笑みを浮かべた私。
そんな私に財前は絶対零度の目線でもう一度念を押してきた。


大好きな古典の授業は受けたいけど、財前の目線には敵いそうにないからしょうがなく財前に着いて行くことにした。
どうせ今回も視聴覚室だろう。


財前にしばらく着いて行くと視聴覚室にたどり着いた。
ほら、ビンゴ。
この何日間で財前のことが少し分かった気がする。


ニヤニヤして財前の後ろ姿を見つめてると、財前が急に振り返ってきた。


「何ニヤニヤしとんねん。キモいわ」

『確かに自分でもキモいとは思ったけど…』

「思ったんかい」


バカにした感じに笑う財前にちょっとときめいてしまった自分が悔しい。
だって…深く関わるまではこんな財前知らなかった。


でも今…色んな財前知っていくに連れて、財前にドキドキする回数が増えた気がする。


財前の隣に腰を下ろしてみるものの…沈黙が辛い。
何を話そうと考え込んで、やっと出た言葉は私達の7日間の関係についてだった。


『後3日かあ…』

「…せやな」

『楽しかったよ、色々と』

「後3日あるんやからそんなん言わんでええ」


財前の言葉に苦笑いして浅く頷いた。
3日か…きっとあっという間なんだろうな。


「日曜日…」

『え?』

「…やっぱええわ」

『何それ!最後まで言ってよ!気になるじゃん』

「忘れろや」


それからは何度粘っても財前は言葉の続きを言ってくれなかった。
これは私が引き下がるしかないのね。


仕方なく問い質すのをやめた。
途端にまた始まる沈黙。


「…姉貴がおる」

『は?』

「ええから黙って聞け」

『あぁ…うん』


急に話し出した財前に視線を向ける。
話には脈絡なんて全くなくて、何の話をしてるかさっぱり分からなかった。
でもとりあえず財前の話を聞いとこうと思い耳を傾ける。


「そいつも男嫌いやねん」

『…そうなんだ』

「知らん男に襲われてな、悔しかったわ。姉貴助けられんかったことが何より」


財前の話を聞いて、頭が痛くなった。
似てる…私と似てる…。
男嫌いになったきっかけも何もかもが私とそっくりだ。


「莉奈と似てんな」


財前が何を思ってそう言ったのかは分からない。
でも確かに私と似てるんだ。


『今、お姉さん何してるの?』

「結婚したで。あの日からずっと支えてもらっとった人と。俺も信じとる人」


優しそうな目で語る財前に私は何も言えなかった。
財前は何を思ってこんな話をしたの?
彼は…私の過去を知っているの?


ふと過ぎった思考にそれはありえないなと思って首を振る。
ありえないよ…それは。


財前の言葉にまたあの日を思い出しそうになった。
でも、いい加減前に進まなきゃいけないよね。






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