for seven days

□SEVENday
1ページ/2ページ



7日間の関係最終日。
いつもと変わらない日。
お昼は一緒に食べたし、会話だっていつも通りだ。


ただ、2人を取り巻く空気がいつもと違うのは最後だって分かっているから。


私から言ったんだ。
期日の延長は認めない。
なのに、私はこの関係を延長したいと望んでいる。


矛盾しているこの気持ちに頭がついて行かない。
それに何より1番引っ掛かっている事は…あの時の彼が光なのか。


何も聞き出せないまま1日が終わった。
7日間の魔法が解ける。


ホームルームが終わっても私はその場から動かない。
自分の椅子に座ったままぼーっと黒板を見続ける。


そろそろ帰ろうかと思った瞬間強い衝撃が頭に走った。


『痛っ…』

「何やっとんねん。帰るぞ」


強い衝撃の犯人はどうやら光だったみたいだ。
正確に言うと光じゃなくて光の鞄だけど。


『うん?帰るよ?光は部活頑張ってね』

「…ちゃうわ。一緒に帰るぞって言うとんねん」

『だって光今日部活は?』

「月曜はオフ」


しびれを切らしたかのように私の鞄を持ってすたすた歩く光。
光に追い付くように私は走る。


光を追いかけるのはこの7日間で馴れた。
でもきっともうそんな日は来ない。
今日で何もかもが終わる。


昇降口で靴を履き終えた時、光は私に鞄を返してくれた。


「家どこ?」

『四天駅の近く』

「俺ん家近いから送るわ」


一通りの会話を終えてまた歩き出す。
やっぱり光の歩くペースは私に合わせてくれてる。


何気なく車道側を歩いてくれたり…。
決して表立って見せない不器用な優しさが心地いい。


光の空いた左手と私の空いた右手が小さくぶつかる。
光は私に気を使ったのか、パッと左手を避ける。


でもいつもみたいに私にパニックは起こらなかった。
それに、光と手を繋ぎたいという思いが私の心の中を占めていた。


『光、手繋ぎたい』

「大丈夫なんか?」

『光なら大丈夫』


案の定目を丸くした光に私は笑う。
そしてゆっくり差し出された光の手を握る。


ちょっと震えたけどやはりパニックは起こらない。
光の冷たい手が気持ちいい。


光の手をぎゅっと握ると、光も強く握り返してくれた。
光の大きい手に私の手が収まる。


幸せだと実感できた。
例え2人に愛がなくても。




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ