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□彼女の大きな勘違い
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恋愛は自分に持ってない物を持ってる人に惹かれると聞いた事がある。


だからお嬢様はワイルドな人に惹かれる。
大人しい人は元気な人に惹かれる。
美しい人は不細工に惹かれる。


上2つは有るとしても、3つ目は絶対に有り得ない。
もしかしたら凄く低い確率でそれは成立するかもね。
だけど大方有り得ない。


美しい人が不細工が好きだったら、頑張って綺麗になった私の努力は何なのよ。


それに跡部景吾は女を顔で選ぶ。
どんなに性格が悪かろうが顔がよければそれでいい。
顔顔顔顔顔。顔しか見てないのだ。


つまり景吾にとって女はアクセサリー。
自分の隣に並ぶのに相応しいか相応しくないか。
その女を自分に身につけても自分の価値が下がらないか。


それが景吾の女を選ぶ基準だ。


『景吾はやっぱり不細工は嫌い?』

「アーン?急に何だよ」

『何となく。不細工は嫌いなのかなーと思って。女を選ぶ基準って何?』

「女を選ぶ基準か。美しいかどうかだな。だから莉奈を選んだ」


そう言って景吾は私の顔を見る。
顔を見る。顔を見るのだ。


やっぱり美しい人は不細工が好きだなんて有り得ない。
景吾は顔で女を選ぶような人だ。


どれだけ美しい女を連れているか。
それが景吾のステータスに繋がる。


だから私はそれに貢献しなきゃ。
美しくあり続けなきゃ景吾は私を見てくれなくなっちゃう。


『景吾、好き』

「アーン?んな事知ってる」

『景吾は?』

「好きだぜ」


私の質問に鼻で笑って私の顔を見る景吾。
私の顔を見て好きと告げる景吾。


やっぱり私の顔なのね。



彼女の大きな勘違い
(彼女は確かに顔も美しかった)
(だが彼が愛したのは、)
(彼女の美しい心だった)






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