short

□未完のラブソング
1ページ/1ページ



あら、景吾。来てたの。顔が寝起きだって?だって寝てたんだもん。しょうがないじゃない。私ね夢見たの。幸せな夢だったわ。どんな夢かって?今から話すから黙って聞いときなさいよ。景吾はいつも話の腰を折るんだから。あのね、私と景吾2人きりなの。本当に2人きりの世界。周りには何もないの。私と景吾2人だけ。面白くない世界なんて言わないでよ。私は面白かったんだから。だって病気も何もない世界なのよ?ごめん、そんな悲しい顔させたい訳じゃなかったの。それでね、ずっと2人で笑顔で寄り添ってる夢だった。とにかく幸せだったよ。そうね。現実でもこの夢のようにいられるわよね。だって私景吾のこと好きだもん。あーもう照れないでよ。私まで照れるじゃない。んー何だか眠くなってきちゃった。私もう一眠りしていい?私が起きるまでここにいてね?なーんてね。じゃあ景吾…おやすみなさい。





莉奈はもう二度と目が覚めることはなかった。
アイツの死に顔は綺麗だった。
眠っているようだった。


いきなり起き上がって、いつもの笑顔で俺の名を呼びそうだった。
でも、莉奈が死んだのは紛れも無い事実。


悲しくなんてない。
俺らはまた会える。
根拠なんてないけどそう思える。


「莉奈、来世でまた会おうぜ」



未完のラブソング
(来世でまた会えたのなら)
(俺達はきっと幸せになれる)






.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ