short

□Plunder Lover
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最初に話を持ち掛けたのは俺じゃ。
しょうがなか。


莉奈が好きなんじゃ。


この感情に気付いたのは、莉奈と幸村がキスしとる所を見た時。


俺の中にどす黒い感情が渦巻いた。
幸村の腕の中から莉奈を奪いたい。


「莉奈…好いとうよ」

『珍しいじゃない。雅治がそんな事言うの』

「……まあ、たまにはのう」


俺がいくら「好き」と囁いても莉奈からの返事は貰えん。


前から分かっとった。
莉奈は幸村しか見とらんこと。


間に無理矢理割って入ったのは俺じゃ。
こんくらいの覚悟はできとったつもり。


所詮俺は二番手。


でもどんどん好きが積もっていく。
莉奈を手放したくなか。


「幸村はええんか?」

『雅治から呼んだくせに。今更それ聞くの?』

「勘づくかも知れんぜよ」

『もうとっくに気付いてるかもね』


クスッと自嘲気味に笑う莉奈に鼓動が疼く。
幸村より俺を優先した彼女に何とも言えん気持ちになった。


欲望が積み重なって行く。
抱きしめたい。キスしたい。


今ここで。


「……のう、莉奈」

『何?』

「キスしたいんじゃけど」

『…いいよ』


一瞬戸惑いの表情が見えたが、気にせず俺は莉奈の顎を上げる。


莉奈にゆっくり顔を近付ける。


のう、莉奈。知っとったか?
お前さんが大好きなんじゃ。


この恋が世間に否定されようと、俺は莉奈がおればそれでええんよ。


だから俺から離れて行かんでくれ。
二番手でもいいから…。
ずっと傍におってくれんか?


どんどん近付いて行く莉奈との距離。


目を閉じる直前に見えたのは遠くを見て柔らかく微笑んだ莉奈の顔。


その微笑みは誰の為?
その目は誰に向いとるん?


全部全部俺の物やったらどんなに良かったか。



Plunder Lover
(略奪愛?)
(そんなん知らん)
(俺の莉奈に対する想いは)
(純愛じゃき)






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