小説

□Angel Tears 2
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第2話 「“記憶”」


「おい、大丈夫か!?」

突然のことに戸惑いながらも、倒れている少女に駆け寄る浪牙。
見たところ外傷は全く無く、呼吸も落ち着いている。
「大丈夫みたい…やな。」

少女の無事を確認し、ホッと一息…
「とりあえず一安心っと…」

浪牙は少女の心配をしているが、ラグナは…

「しかし、この子…
どっから現れたんだ?」

少女のことなど気にせず、空間の歪みが現れた場所を入念に調べている。

「古代技術(ロスト・テクノロジー)でも空間移動はほぼ無理。
ましてや現代の遅れた文明じゃあ120%無理…なはずなんだがなぁ…
もしや自身の能力で空間移動…?
でも、そんな能力…
あ、でも確かあの施設にいた子供なら…」
……何を言っているか全くわからないが、一つだけ分かることがある。
「あちゃ〜…
学者モードに入ってらぁ。」
それは、ラグナがこのモードに入るとなかなか元には戻らないということだ。

「はぁ……」
ラグナの様子を見て溜め息。
「さて、この子をどうすっかねぇ…?」
そして眠っている少女を見ながら、もう一回
「はぁ……」
深い溜め息をついた。









夜更け。

少女が目を覚ますのを待っているうちに、こんな時間になってしまった…

「あちゃ〜…
もうこんな時間になってもうたか…」

浪牙が嘆く。
本来なら今日中に街に到着する予定だったのだが、謎の少女の出現により大幅に予定を崩されてしまった…
「…なら、この子をおんぶして夜道を歩くか?
危険だけど今日中に着けると思うぜ〜」
他人事のようにへらへらと言うラグナ。
その様子を見て浪牙は溜め息をつく。

それからまた数分経ったが、まだ少女は起きない。
今日はここで野宿確定だ…

「……な〜んか…
凄い出来事が起こった後なのに、全然興奮とかしないわなぁ…」
ふぁあ…と欠伸混じりに言う。
それに対し、
「俺様は超興味あるぜ?
何たって、失われた空間移動の技術をこの目で見たんだからなぁ!!」
ラグナは浪牙とは真逆の反応を示す。
何か面白いモノを見つけ、はしゃぐ子供のような顔だ…

(こういう時のラグナって、年齢より幼く見えるな…
元から童顔なのもあるけど。)
そんな事を思う。
そういえば、ラグナって何歳だっけ?
ラグナとはもう3年の付き合いになるけど、アイツの昔の話って聞いたことないし…

昔の話…か。

「うん?何か用か、浪牙?
そんなジロジロと俺様の方見てさぁ。」
「うんにゃ、お前の過去の話って聞いたことないなぁ…と思ってな。」
思った事をそのまま口に出してみる。
この発言にラグナは少しきょとんとした表情を見せた。
(…あり?何この反応…
何か俺、マズイこと聞いちまったか?)
予想外の反応に内心かなり焦ったが、
「ん〜…ん?
いや、聞かれなかったから話さなかっただけだが。」
これを聞いてホッとする。
「でも、聞かれても話さなかっただろうがなぁ〜。
俺様、過去に縛られるの嫌いだから♪」
「過去に縛られるって…」

ラグナはこういう聞かれたくない話題をかわすのが本当に上手いなぁ…と自分でも思う。
こうやっておちゃらけて話を反らすあたり、聞かれたくない何かがあるんだろう…
そんなことよりも、何でこの話題になったんだっけ?

あ、そうだ。
ラグナの年齢を…

「ラグナ…お前何歳?
ワイと同じぐらいか?」
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