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□高尚な悩み
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「ハァ…。」

目の前で、いのが5回目の大きなため息をついている。
もうなんなのよ、呼び出しておいてため息ばかり。

「どうしたのよ、さっきから。」
「ハァ…。ほんと、あれよね〜、男選びって大切よね〜。」

…何言ってんのよ。あんた先月付き合いだしたばっかじゃない。新しい男と。

「何かあった訳?」

呆れながら聞くと、いのはいきなり耳元に顔を近付けてきた。

「アレが最悪なのよ。」
「は?」

アレ?アレって?

「エッチ。」

…。ばかいの。何でカフェでそんな話をすんだよ。
しかも最悪って。
聞けば、付き合い出してから10回はしてるらしい。

「どういうこと?い、痛いとか?」
「違うわよ。」
「じゃあ何?」
「イカせてくれないの。自分本位っていうか。なんていうか。イクのが2回に1回っておかしくない?」

いののものすごい迫力に、思わず体を引いた。
声は小さいけど、こんな話もし誰かに聞かれたら、消えたくなるわ。
それにしても2回に1回か…。確かに少ないかもしれないけど、全くないわけじゃないじゃない。

「でも、いい人って言ってたじゃん。」

いのの今の彼氏は、いのより4つ年上の中忍の人だ。
すっごくモテるらしく、いのは猛烈なアタックをしたらしい。
一度見たことがあるけど、確かにけっこうかっこよかった。

「あんたねぇ…。セックスの相性が悪かったら、そっから先はもう地獄みたいなものよ。」
「はぁ?」

まるで結婚前の女の人のようなセリフを言っている。
そして、ハァーとまたため息をついている。

「年上で、イケ面で、出世頭で、もうすぐ特別上忍にもなれそう、みたいなこと言ってたけど…。やっぱダメね…。」

え??まさか!?

「別れるとか言わないわよね?」

思わず大きな声で言ってしまった。
だって、あんだけ散々アタックしておいて!?
すごかったわよ、あのときのあんた!で、やっと付き合ったのに?

「無理よ。だって幸せな男女の未来には、幸せなセックスがなきゃダメだもん。」

…なんの理論だ。
いのは、決意を固めてしまったらしく、よし、別れる!と言っている。

「あんたはいいわよね、カカシ先生なんだから。」
「ど、どういう意味よ。」

いののニヤニヤした笑に、目をそらす。
こいつ…こんな下世話な話を、よくもまぁ白昼堂々とできるわね。

「カカシせんせ、上手いんでしょ?ほら、いっつもエロい本読んでるし。」

にっこりと笑ういの。こいつ…いろいろ聞き出すつもりだな。
ま、まぁ確かにカカシ先生とスルのは、ほんとに気持ちいいんだけど。
他の人を知らないけど、カカシ先生のテクは神業だと思う。
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