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□ある傷
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「ねぇサクラ。」
カカシは低い声でサクラの名を呼んだ。
「ん?」
サクラがその声に振り替える。
「何?その傷。」
「…やっぱバレたか。」
カカシが指摘したのはサクラの膝裏にある小さな傷だった。
「普通の」人なら、まず気付かないような小さな傷だ。
「どうしたの?」
カカシが怪訝な表情でサクラに問い掛ける。
「かまいたちよ。」
ついさっき、カカシに会う前、かまいたちの風によってできた傷をサクラは説明した。
自然現象でできた傷だから、治癒する必要はないと思ったので、そのままにしてあったのである。
しまった、と思った。
「ふーん。」
サクラが思った通り、カカシは明らかにサクラを疑っている。
サクラはやっぱりちゃんと治癒すればよかったと思った。
「先生、早くいくわよ。」
サクラは内心ヒヤヒヤしていた。
カカシは異常なまでに心配性なのである。こんな小さな怪我でも、誰かにつけられたのではないか、と疑っているにちがいなかった。
「…ま、いっか。」
カカシは何かを一人納得した。
今日はこれ以上のお咎めはないらしい。
(ラッキー!)
サクラはカカシの家に向かって走りだした。