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□怪我の功名
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「どうしたの!?それ!」
サクラは驚いて声をあげた。
帰宅したカカシの腕から流れる血を見て、慌てた。
見たところ、縦に大きな裂傷が入っている。
「ん、かすり傷だよ。」
カカシはニコリと笑って、玄関に腰を下ろして脚絆をほどき始めた。
確かに余り深くはなさそうだが、血が出るほどの傷となると、気になる。
サクラは心配そうにカカシを見つめた。
「ん、いい匂いだな〜。」
「あ…今日は茄子の味噌汁作ったの。」
今日休みだったサクラは、カカシの家でカカシの好物を作りながら、カカシの帰りを待っていたのだった。
カカシは、脚絆をほどききり、家にあがる。
「…先生、腕かして。」
サクラは精神を集中してチャクラを錬った。ゆっくりカカシの傷の部分に両手を当てると、チャクラを流し込む。
「…ダメだよ、こんな傷なんかにチャクラ使ったら。」
カカシは申し訳なさそうにサクラに言う。
「今日休みだったから、有り余ってるのよ!」
サクラの言葉に、カカシは微笑んだ。
「それに、こういうのは、一番やってあげたい人にするものよ。」
はい、完了。とサクラが言うと、傷口は綺麗に塞がっていた。傷の周りの血だけが残っている。
「ありがとう。」
カカシは、サクラの言葉がたまらなくうれしかった。サクラが、貴重なチャクラを自分に使ってくれたこと。一番治してあげたいと言ってくれたこと。
サクラがとても愛しく思えた。
「先生、先にお風呂入れば?血ついてるし。」
サクラの言葉に、カカシはコクリと頷いた。
とそのとき、カカシの心が衝動にかられる。
「サクラ、一緒に入ろ。」
「え!?」
サクラはびっくりして空いた口が塞がらなくなった。
(カカシ先生と一緒にお風呂!?嘘でしょ!?)
サクラは、好きな人とお風呂に入るという考えが頭に全くなかった。
カカシはそんなサクラの混乱を察し、サクラを落としにかかる。
「サクラが治してくれたけど、怪我もしたし、ちょっと疲れちゃったんだ。サクラが一緒に入ってくれたら、すぐ直るよ。」
カカシは確信犯だ。こういう言い方をすれば、サクラが嫌とは言えないことを解っていた。
カカシはそっとサクラの腰をよせる。
「ね、お願い。」
至近距離で囁かれ、サクラは悩んだ。
(んー、カカシ先生、確かに疲れてるみたいだしなー…。)
「わ…わかった。」
サクラは渋々だが、了解した。言った途端に顔が真っ赤になる。入るまえから恥ずかしくなっているようだった。
その姿を見て、カカシはクスリと笑った。