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□始まりの終わり
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「あの…カカシさん。」
「んー?」

アカデミーの裏庭。夕暮れどき。女が男を呼び出し。これってさー、完全に「そういう」シチュエーションだよねー。

「あの…、好きです!付き合って下さい。」
「うーん…。」

何でこんなにオーソドックスに告白してくれちゃうかなー。まぁ別にいいんだけどね。付き合う気ないし。

「俺はさ、多分君が思っているような男じゃないよ?」
「え?」
「じゃね。」

いつものセリフを言って踵を返す。これ以上言うことなんてない。

みんな同じなんだ、いつも。「好き」「付き合って」って言われて、特に断る理由がないから付き合うけど、「カカシさん、わたしのこと好き?」「カカシさんの気持ちが解らない。」で、ジ・エンド。
俺は始めから好きだなんて言ってないっつーの。
付き合って必ず好きになる約束もした覚えない。

それに…
意識している人がいるんだよね。

「さて。帰るか。」

アカデミーの職員室に戻ると、誰もいなくなっていた。さっき振った子がもしアカデミーの職員で、ここに来たらやばい。早く帰ろう。

アカデミーを出て、歩く。ふと、門の所に人影が見えた。

「カカシ先生!」
「あら、サクラ?」

サクラだった。
瞬間、胸がドキッと鳴る。

小さい小さいと思っていたサクラも、かなり成長したんだなぁ。遠くからじゃ一瞬わかんなかった。
最近のサクラはとても綺麗になった。もう子どもじゃないもんねー。見た目は。

「どうかした?」
「先生、これ。」

サクラの手を見ると、巻き物がある。ってこれ俺のだ!あれ?何で?
俺は驚いて左胸の巻き物ポケットを探る。
…ない。

「やっぱり先生のだ!アカデミーの裏庭に落ちてたのよ。」

はい、と言ってサクラが渡してくれた。よくポケットを見ると、穴が空いている。しかもついさっき破れたような布の切れ目。

裏庭って…。よりによってあの時に破れたのか。

「ありがとう。」
「裏庭なんかで何してたのー?」

サクラが無邪気に聞いてきた。こういう聞き方をされると、からかいたくなるのは俺の悪い癖だ。

「セックス。」
「…はっ?」
「だから、エッチしてたのよー。」

みるみる内に、サクラが小刻みに震えだした。

「……この、変態教師ー!!」

真っ赤な顔をして俺の肩をバーンッと叩くサクラ。怒ってんのかな?いや恥ずかしがってる??
どっちにしろ、かわいいなー。

「じょーだんだよ、冗談。」
「へ?」
「アカデミーの敷地内でなんて、怖くてできません。」

俺はおどけた言い方をしてサクラを宥めた。サクラはまた顔が赤くなる。

「ばっ…ばっかじゃないのー!?」
「ごめん。」

ちょっとからかいすぎたかなーと思って、真剣に謝る。するとまた顔が真っ赤になった。
やばっ。マジでかわいい。

「じゃあさ。」
「何よ。」
「巻き物のお礼と、今のお詫びに、ご飯食べに行かない?」
「え?」

サクラと、一緒にいたいなーって思った。
いや、好きとかそういうんじゃないよ。うん。一緒にいたいだけだ。14も年下の子を好きになるわけない。そう。なるわけない。

…なるわけなかったんだ。

「うれしい!」

サクラが笑った。
…嘘だろ、おい。かわいすぎる。押し倒したい…じゃなくて!
これじゃあ俺、マジの変態教師じゃねーか。

「いこっ!せんせ。」

サクラが俺の手を取った。柔らかい、女の子っぽい手。
…やばいだろ。やばいよ。
俺は、柄にもなくひとりドキドキしていた。
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