書庫
□カテーテル
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目の前で、女が泣いている。
名前なんだっけ?忘れたなー。どうでもよすぎて。
「なんで…なんでですか?もう会わないなんて…。」
「別に…理由なんかないよ。なんとなく。」
なんで?を連呼する女。全く、女ってどうして最後は同じようなことを言うんだろう。面倒なんだよなー。
「付き合ってたんじゃなかったの?私たち。」
女のその言葉に、反吐が出るほどイライラした。
付き合ってた、だって?
「何言ってるの?」
低く冷たい声でその怒りを表にする。
女の表情が引きつった。
「一度や二度、俺とヤったくらいで、恋人ヅラ?止めてよ。」
「カカシさ…。」
「君とは、ただセックスしただけ。それだけ。じゃあね。」
そう言って後ろを向いた。嗚咽の声が聞こえたけど、しったこっちゃない。
面倒で、早くこの場を離れたかった。
俺みたいな男を、最低って言うんだろうな。
まぁそんなこともどうでもいいんだけど。
女は、ほんとめんどくさい。こっちはヤリたいだけだって何で解んないのかな?
「好きな人」でもできたら変わるのだろうか。
「好きな人、ねぇ。」
自分で言って、馬鹿らしくなった。
俺が声をかければ、女はみんな着いてくるし、声をかけられる回数は声をかえる回数より多い。
こんな状況で人を本気で好きになるなんてないだろう。
アカデミーに仕事も残っていないし、今日はもう帰ることにした。