書庫

□感染
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ドロリ・・・

「あーもー。ここにもついてる。」

カカシは、右腕についた血をビッと拭った。地面が血で濡れる。
その血を見て、カカシはフッと笑う。
任務明けは、決まってこんな気分になる。
血と泥で汚れた手を見ると、ドス黒く、濁った感情が沸き起こっていくのだ。
カカシはふと立ち止まった。

「サクラ・・・。」

愛しい人の名前を呼んだ。その声は夜空に溶ける。
今夜は、我慢できないかもしれない。
今にも勃起してしまいそうなほど、欲情が掻き立てられる。

カカシの頭の中では、サクラの陵辱が始まっていた。

「服は、破いちゃってもいいかな。」

すかさずポーチのクナイを確認する。まだ1本残っていた。

「挿れるまでが大事だよね。」

すぐに挿入なんて、絶対にしない。
これは自分との戦いだ、とカカシは思う。すぐに挿れたくなる自分の欲情との戦い。

カカシは、サクラの声、汗ばんだ肌、悶える表情をリアルに感じていた。
血の匂いがカカシの思考を狂わせる。
今晩は、我慢できない。

月の光が、道を怪しく照らしている。
カカシは、ゆっくりとアカデミーの方に向かって歩いていった。


***


「お疲れー。」
「お疲れ様です。」

サクラは、すれ違い様、受付の中忍に挨拶をした。
おそらくこの中忍が、アカデミーに最後に残った人物だろう。

「さてと。」

サクラは、その足で図書館へと向かった。忍術の勉強をするためである。
綱手の元に弟子入りして以来、体術や忍術の修行には余念がないが、座学が足りていないとサクラは感じていた。
いのからは、「あんた真面目すぎよ」と言われたが、座学も忍には必要だとサクラは思っている。
巻物が読めなくなったら、使える忍術の幅も狭くなる。
それでは、強い忍になることなんてできない。自分が憧れ、尊敬する忍の傍にいることすらできなくなるかもしれない。

キィ・・・

サクラはゆっくりと図書室のドアを開けた。
それに、誰もいないアカデミーの図書室で静かに本を読む時間が、サクラは好きだった。

「カカシ先生は今日も任務かー。」

席についたとき、ふと独り言が零れた。
かつて自分の師であった上忍・はたけカカシは、現在自分の恋人である。
「好きだ」と短い告白をされ、サクラはそれを受け入れた。
カカシの大人の優しさや、包容力を十分知っていたから、付き合ってみたいと思った。
実際、付き合ってからのカカシは本当に優しかった。
同年代のどの男よりも、カカシは魅力的だとサクラは思う。

「よし。」

気合を入れて、巻物を広げた。この巻物を読めるようになれば、医療忍術の幅がまた広がる。
カカシの傍で忍を続けるためにも、それは重要なことだと思う。
サクラが、集中しようと巻物に目をやったそのときだった。

!!

首筋に、チリチリとした殺気を感じた。

「・・・何!?」

薄い膜の中にいるような、生温い気配に気圧される。
そしてゾクリという悪寒がサクラを襲った。

「誰よ!」

恐怖を押し込み、何とかチャクラを練って対抗しようとする。
こんな殺気を向けてくるなんて、普通じゃない。
サクラは、恐る恐る殺気のする方へと歩いていった。
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