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□包帯と劇薬
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「アッ・・・んっ・・・。」
「クッ・・・。」

荒い息をしながら、カカシが射精した。
しばらく体を繋げたまま、セックスの後の余韻に浸る。
カカシは、少し経ってから、ゆっくりとサクラのナカから自身を引き抜いた。
1週間ぶりに放たれた精液が、コンドームの中に溢れている。

カカシの部屋。カカシのベッド。情事のあとのシーツに汗の染みができている。
サクラが、布団にくるまった。
汗をかいたあとは、急に寒さを感じる。裸で寝るのがためらわれたから、キャミソールを着て、ショーツをはいた。

コンドームを捨て、手を洗ってからカカシはベッドに戻ってきた。
布団にくるまるサクラの髪の毛を優しく撫で、小さなキスを落とすと、床に散らばった服を着始める。

「え?」

服を着るカカシを、サクラは訝しげに見つめた。
情事のあと、カカシはボクサーパンツのみをはいて寝るのである。
なぜ今日は服を着るのだろうか。

「どっかいくの?」

時計を見ながら、サクラが問う。時刻は午前1時だ。

「任務。」

短く答えながら、カカシは手早く忍服を身に着ける。
手甲をはめ、額宛も締めた。
そこまで整えたところで、悲しそうに見つめるサクラに気づくカカシ。

「ごめん。でも、行かないと。」

ベッドに浅く腰掛け、カカシはサクラの髪の毛をまた撫でる。

「1週間ぶりなのに?」
「うん・・・。」
「今度は何日?」
「3日くらいかな。」
「・・・そう。」

淡々と日程を説明するカカシに、サクラは涙が出そうになった。
今日は1週間ぶりに会ったのだ。
カカシの家でご飯を作り、風呂をわかし、ずっと帰りを待っていた。
それなのに。

「せんせ・・・。」
「ん?」
「・・・いや、なんでもない。いってらっしゃい。」

すぐ帰るよ、と言ってカカシは家を出て行った。
バタンというドアが閉まる音が空しく部屋に響く。

1週間ぶりだったのに。
カカシは、セックスだけをして行ってしまった。

別に荒々しかったり、強引だったわけではない。
いつものように、いつも以上に、優しく丁寧なセックスだった。
カカシの腕に抱かれているときは、とてつもなく幸せだった。

「・・・ハァ。」

カカシがいなくなったカカシの部屋は、世界の隅っこのように寂しく感じられた。
サクラの溜め息は、部屋の無機質な空気に静かに溶けていってしまう。

サクラは、何かの雑誌で、「彼氏と、セフレのようになってしまっている」という恋愛相談が掲載されていたことを思い出した。

「セフレ、か。」

今の2人はまるで、その相談のような状態じゃないか。
サクラはふとそう思った。
カカシは任務でとにかく忙しい。カカシはいい歳の大人の男だ。人並みの性欲もあるだろう。
そんなことは頭で解っていても、心が拒否する。

サクラは、カカシの匂いが残る布団をバフッと頭から被ると、再び溜め息をついた。
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