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□ランナーズ・ハイ
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じゃあね、カカシ先生。
今までたくさんありがとう。
バイバイ…
目の前で、愛しい人が遠ざかっていく。
信じられない光景に、俺は必死に追いかけた。
怖くて苦しくて、俺は必死に手を伸ばすけど、全く届きそうにない。
止めてくれ!いくな!!
何かの冗談だ!
苦しくて、つらくて、
涙が流れた。
嗚咽もなく。ただひたすら。
「な…っ」
「いくなっ!!!」
「わっ!」
ガバッと飛び起きる。
どうやら、夢だったらしい。心の底から安心して、俺は大きく息を吐いた。
「どうしたの?」
かけられた声。
その声の主は、さっき夢のなかで消えていった愛しい少女だった。
びっくりした顔で俺を見つめている。
ああ、帰ってきてくれたんだ。
どうやら夢を見ていたらしい。
「ごめん。おかえり。」
「すごい汗。なんか悪い夢でも見た?」
言いながらサクラがタオルで俺の汗を拭ってくれる。さわってくれてようやく、サクラが「消えてない」ことを信じることができた。
「…まぁね。」
「どんな夢?」
「んー。」
思い出したくないよ。という言葉を外に持たせて、サクラにキスをした。
愛しさがこみあげてくる。この子がいないと、俺は本当にダメだ。
「ん…カカシせんせっ…何急に…?んっ。」
サクラの言葉を無視してキスを続けた。
舌を侵入させて、サクラのちっちゃい口内を犯す。
上顎まで舐め回すと、苦しそうにサクラが吐息を漏らした。
「せんせ…会いたかった。」
唇を離すと、サクラはつぶやくように言った。チラッと目を見ると、潤んでいる。
任務で3日会っていなかった。会いたかったのは俺も同じだ。
「帰ってこなかったらどうしようかと思った。」
真剣な声色でそう言った。さっきの夢が脳裏に蘇る。あんな風に…サクラが俺の前から消えたら…。
俺は自殺でもするんだろうか。
「…そんなことないよ。」
「ん?」
「先生のとこに、必ず戻ってくるよ。」
そう言ってくれたサクラの目は、真剣だった。