書庫

□蓮華
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サクラが好きだ。
そう思ったのは最近のこと。
思ったら、止まらなくなった。

今まで何度か人を好きになったことはあるが、
今回のは特別だ。
好きで好きでたまらない。
頭がおかしくなりそうなくらい、24時間サクラのことを考えている。

柔らかそうな唇にキスをしたいし、
細い腰を手繰り寄せて抱きしめたい。

俺の思考はサクラ一色なんだ。
そして10歳以上年下の女の子に欲情する俺は、もう理性なんて持ち合わせていないのかもしれない。

「ヤマト隊長。」

恋焦がれる声が聞こえて、ハッとした。
顔を上げると、サクラの笑顔。

「疲れてますね。寝てましたよ。」
「・・・ああ。」

寝てたんじゃない。
目をつぶって君のことを考えていたんだ。
頭の中で何度も何度も抱いていたんだ。

そんなことを知る由もないサクラは、
俺にまたニッコリと微笑んだ。

「はい、これ。報告書できましたよ。」

最近はサクラの事務能力を上げるために
任務報告書を書かせている。
本当は隊を仕切る俺の仕事なんだけれど。

「相変わらず、よく書けているね。」

何の落ち度もない。完璧な報告書だ。
この子は、忍としての才能だけでなく、こういうことの能力も高い。

「ほんとですか?隊長にそう言ってもらえると・・・うれしいです。」

照れたような、はにかんだ笑顔。
・・・。それは反則だって。
解ってるのかな、サクラは。

好意を寄せている女にそんなことされたら、もう襲うぞ、俺は。

「お疲れさま。あとは提出して、帰っていいよ。」

名残惜しいけど、仕方ない。
今日の任務は終わってしまった。
こう言わないと、ここで抱きしめたくなってしまう。
我慢できるわけない。

「はい。・・・確かあさっても、任務ありますよね?」

頬をかすかに紅く染めながら、サクラが俺に聞いてきた。

「うん。あるよ。」

そう。一日おいてあさってに任務がある。
比較的短いスパンだ。
しかもDランクだから、命に関るような任務ではない。
本当はうれしくてしょうがないんだけど、
感情を隠して冷静な声で答えた。

「よかった!」

そう言ってチラッと俺の顔を見てから、クルリと俺に背を向けるサクラ。
ここがアカデミーじゃなかったら、
確実に後ろから抱きしめていたと思う。

そして白いうなじにキスをして、首筋に顔を埋めて。
帷子の中に手を忍ばせて・・・。

「では、失礼します!」

振り返ってそう言い残すと、サクラは行ってしまった。

「・・・全く、敵わないなぁ。」

思わず独り言を呟いた。
あの子は天然の小悪魔だ。
他の男にもこんな顔を見せているのだろうか。

考えただけでもハラワタが煮えくり返りそうだった。
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