書庫
□ある傷
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カカシの家につくと、サクラはいそいそと支度を始めた。
今日の夕飯は、オムライスだ。
いつも和食ばかりで洋食は年に1、2回しか食べないというカカシの発言に驚いて、サクラが提案したのである。
「それにしても先生、オムライス食べたことないって詐欺よ。」
「そうかなぁ。」
カカシは間の抜けたような声を出して、部屋を少し片付けている。
といっても、物が少ないカカシの部屋は、散らばる本をかたす程度で事足りる。
ふと、カカシはサクラの方をみやった。膝裏の傷・・・。やはり気になる。
本当は、誰かに無理矢理組み敷かれてできた傷なんじゃないか。
だとしたら襲われた、とか?
カカシの頭の中にいろいろな場面が浮かびだした。
「ちょっと先生、卵焼くくらいはできるでしょ?手伝ってよー。」
「それよりさ。」
「え!?」
さっきまで部屋の片付けをしていたハズのカカシが、すぐ背後にいた。そして耳元で囁かれる。
「やっぱこの傷、誰かに何かされたんじゃないの?」
そう言ってカカシがサクラの膝裏をそっと撫でた。
「はぁ?」
(何を言ってるんだ、この人は。)
サクラはカカシのその行為を怪訝な目で見つめる。
「誰かに襲われたとかさ。」
カカシはそう言うと突然サクラの口を塞いだ。
なんだかよく解らないが、キスしたいと思ったから。慈しみや、独占欲が働いたと思われる。
「っ…。先生、こういう風にキスするの止めてって言ってるでしょ。」
何の前触れも、話の脈絡もなくカカシがキスをすることは日常茶飯事だった。だがサクラは、何度されても慣れないのである。
カカシが何を考えているのかまるで解らないからだ。
「ねぇ、どうなの?」
カカシはサクラの言葉を無視して問う。
「ほんとにかまいたちよ。」
サクラはカカシの目を見ずに言った。藍と緋のカカシの目を見ると、翻弄されるる。
「…ふーん。」
カカシは、サクラの耳に口を寄せた。唇で耳を愛撫する。
「わっ。」
突然の行為にサクラは戸惑い、身をよじらせた。
これで決まりだった。
カカシはサクラを抱えあげる。
「ちょっと先生!」
「したくなった〜。」
「意味わかんないわよ!今までの流れのどこに欲情する場面があったのよ!」
「んー、言語化は得意じゃないんだ。」
カカシは怒ってジタバタしているサクラをベッドに運んで組み敷いた。