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□始まりの終わり
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最近お気に入りのパスタ屋。ここなら失敗はないだろう。女の子はみんなパスタ好きっていうし。
席に着いて、適当に注文する。サクラは楽しそうにメニューを見ていた。
「意外だな〜。先生がこんなおしゃれなお店知ってるなんて。」
サクラは俺をまじまじと見ながらそう言った。実は前の女に教わったなんて、口が裂けても言えないな。
俺と付き合う女は、どの女もこういう店を探すのが好きだった。多分俺が全然探さないからだろう。だって興味ないし。そういう所に連れていってあげたいとも思わなかった。
「まぁそうだろうな。」
「いっつも家に引き籠もってるイメージだったわ。」
サクラはクスクスと笑いながらそう言った。
密かにショックだぞ、おい。
「自炊とかもしてないでしょ?」
「うん。」
「もー。体悪くなっちゃうわよ?…わたしが今度、作りにいってあげよーかなー。」
「え?」
お待たせしましたー、という声と共に、パスタが運ばれてきた。
ちょっと待て。今のは…。今のって…。
「おいしー!」
口いっぱいに、パスタを頬張るサクラ。余程おいしいのか、笑顔が続く。
俺は、サクラのさっきの言葉が衝撃的すぎて、味がよくわからない。
「先生の、一口ちょうだい!」
「ああ。」
回らない頭で皿をサクラに渡そうとしたその時だった。
パクッ!
「おいしー!先生のもおいしいね。」
サクラは、俺がパスタを巻きかけたフォークを口に運んでいた。
えぇぇ!?間接チューじゃないですか!ちょっと、えぇぇ!?いいの?
「あたしのもあげる。おいしいよ?」
そう言ってニコニコしながら、サクラは自分のフォークを差し出してきた。
さすがにあーんはない。そりゃそうだ。
でも逆に自然すぎて、緊張する。
パクッ。
「…うまい。」
「でしょ?ほんと、いいお店だね!」
サクラはそう言ってニッコリと笑った。
何て罪な笑なんだ。かわいすぎる。
それからパスタを食べおわり、近くの公園にいくことにした。
前の女がよく行きたがった公園だ。女の子って何で公園が好きなのかなー?童心に帰るって奴?いや、そんなんじゃないか。
「この公園、カカシ先生と来たかったんだ〜。」
「ん?何で?」
「だって…んーっと…それはノーコメントよ!」
「意味わかんないよ、サクラ。」
えへへと笑って、サクラがベンチに座った。
あー、やっべーな。キスしたい。
「せんせーはさ…。」
「ん?」
「かっ彼女いるの?」
聞いてしまった、みたいな顔で俺にサクラは聞いてきた。
何でそんなこと聞くのかなー。
「さぁどうかな。」
「え!?いるの?」
ん?んん?
今、このサクラの表情…俺には悲しそうに見えるんだけど…。
「あははっ。いーなーいよ。」
「…ほんと?」
「ああ。ほんとにいないよ。」
サクラ、そんな安心したような顔したら、俺、もう結構我慢できないぞ。
わかってんのかな。
「好きな人はいるけどね。」
「え?」
その顔。
ねぇ。サクラ、もしかして。
期待しちゃうんだけど、俺。
「先生の好きな人って…あの…25歳くらいで、髪が長くて、綺麗な女の人?」
「…ん?」
待てよ、それって…。どっかで見たぞ、その女。
…あ。
「サクラ。」
「ん?」
「見てたの?」
冷静な声で問い掛けた。サクラが言ってるのは、十中八九、あのとき裏庭で俺に告白してきた女のことだ。俺の問いに、うつむくサクラ。間違いないらしい。
「…ごめん。教室にいたら、先生が女の人といるとこが見えたから。」
なるほど。それで巻き物を拾えたのか。
「で?」
「え?」
俺はフッと笑いながらサクラの顔を覗き込んだ。
「なーんで気になったの?」
「え!?…えっとそれは…」
俺はかまをかけるつもりで含みを持たせる言い方をした。サクラは戸惑ってキョロキョロしている。俺は更に話を続ける。
「じゃあさ。サクラは?」
「え?」
「サクラはどうなのさ。好きな人いるの?」
「…う、うん。」
予期せぬ俺の「逆襲」に、サクラは戸惑いしきりだった。
それに俺は気付いていた。好きな人はいる?と聞いたとき、一瞬俺の方を見たことを。
「サクラ。」
「ん?」
「教えてあげる。俺の好きな人はね…。」
「…え?うん。」
サクラが俯く。これから君の名前を呼ぼうとしてるっていうのに。
じゃあもう名前は後でいいや。
グッ
「え?」
俺はサクラの肩を引き寄せ、顔をこっちに向けさせると、サクラの柔らかい唇にキスをした。
「んっ…」
柔らかいなー。俺はゆっくりと唇の感触を味わった。
唇を離すと、放心状態のサクラがいた。
そりゃそうか。いきなり自分の担忍教師にキスされたんだから。
「…せんせ?」
「俺が好きなのはサクラだよ。」
そう言ってサクラを落ち着かせるようにもう一度キスをした。
舌を絡ませたい衝動を何とか押さえて。
「…うそ。」
「だと思うの?」
サクラを抱き締める。あったかい。
そう思ったら、もう止まらなくて、またキスをした。