書庫

□その夜の話
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「いらっしゃい。」

ドアをノックすると、カカシ先生がすぐに開けてくれた。
あ…

「普段着だ!」
「んー?」

カカシ先生の私服、初めて見た。
かっ…かっこいい!忍服のときと、全然感じが違う。
薄い長袖のTシャツに、細身のジーンズ。額当て、外してる。口布もない。

「お、お邪魔します。」
「どーぞ。」

カカシ先生に促されて、家の中に入った。
ドアが閉まる音が背中でする。

「あ、先生、これおみやげ。」
「ん?」

お煎餅を袋から出す。他にもお菓子があったけど、先生は甘いものが苦手だから、これにした。

「お煎餅か!ありがとう。」

そう言ってニッコリ笑う先生。
やっぱりお煎餅にしてよかったみたい。
先生は、冷蔵庫からお茶を出してコップに注いでくれた。

「きれいにしてるんだねー。」

座って、と促され、テーブルの近くに座る。後ろにはベッド…ってこら!意識しすぎよ、サクラ!
い、いきなり始まるわけじゃないんだから。…多分。

「サクラが来るから、片付けたんだよ。いつもはこんな綺麗じゃない。」

小さく笑ってそう言いながら、お茶をテーブルの上に置いた。
緊張して喉が乾いていたから、それをゴクゴクと飲み干してしまった。

「あはは、追加入れてくるね。」

ヤバイ!大恥よ、こんなの。
カカシ先生、呆れてないかな。

「喉乾いてたの?」

はい、と言って先生が2杯目をくれた。

「うん。」
「そっか。いっぱいあるから、好きなだけ飲んでいいよ。」

カカシ先生、優しい…。
こういう所、ほんとかっこいいと思う。

2杯目はゆっくりと飲んだ。
ガブガブ飲むのは、かわいくないわ!

「今日は、泊まりでいいんだよね?」

カカシ先生がわたしの隣に座る。
そして色違いの瞳で見つめながら、低い声でそう言った。

「…うん。」

恥ずかしくて、わたしは先生の目を見ずに答えた。
先生の低くて甘い声が耳に残る。

「よかった。今日は、ね?」

先生がフッと笑いながらそう言った。
そう、そうよ。今日は「その」日なのよ!!

「うん。」

わたしはさっきよりも強い口調で答えた。
カカシ先生が好きだから。
今日はもう、カカシ先生と「初めて」をしたい。絶対!
…でも緊張するって!

「お風呂、入ってきたのかな。」

先生がわたしの髪を撫でながら言う。
シャンプーの匂いでわかったのかな?
甘い匂いのするのを選んだんだけど。
カカシ先生の部屋でお風呂に入るのは、恥ずかしすぎると思ったから、家で入ってきた。

「うん。入ってきた。」
「…いい匂いがする。桃?」
「そうだよ。」

カカシ先生がわたしの肩に手を回す。
体がくっついて…。
このバクバクの心臓の音、伝わったらどうしよう。

「サクラ。」

呼ばれて顔を上げると、ゆっくりとキスされた。

「ん…。」

触れ合う程度で、一旦唇を離される。
カカシ先生はニッコリと笑った。

「この日を待ってました。」
「…ばかっ。」

わたし今、絶対顔赤くなってる。
いや、むしろ耳まで。
先生はこういう風に平気で恥ずかしいことを言うから。

「かわいいなぁ、サクラは。」

先生はそう言い終わるか終わらないか、またキスをしてきた。
今度は、ディープだ。
カカシ先生の熱い舌が口の中に入ってくる。

チュ…チュク…

「ん…はっ。」

呼吸が苦しくなるくらい、激しいキス。
歯列を舐められて、舌と舌が絡み合った。
思わず先生の肩に手を寄せる。
カカシ先生と付き合ってから、何回かこのキスをしたけど、
まだ慣れない。

「んっ…せんせ、息できない。」

吐息と一緒に訴えると、やっと先生が唇を離してくれた。

「続きはベッドで。」

後ろを指差しながら、先生がそう言う。
そしてまたニッコリと笑った。
わたし、今からこの人に抱かれるんだ。
何か…やっぱ緊張する!!!

「うん。」

わたしはゆっくりとベッドに寝転がった。
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