書庫

□wisper
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カカシは、任務報告書を持って受け付けに向かっていた。
元々報告書を提出する途中で、サクラに捕まったのである。
サクラが走り去った廊下を歩き、突き当たりの部屋に入る。受け付けには、イルカが座っていた。

「こんにちは。報告書、出しにきました。」
「お疲れさまです。あ、カカシ先生!サクラが探してましたよ。」

さっきの叱咤か。
カカシは納得したように頷いた。

「さっき会いましたよ。」

ニッコリと笑いながらイルカに報告書を手渡すと、イルカがフフッと笑った。

「なんだか怒ってましたけど、大丈夫でした?」

イルカの問いかけに、カカシは苦笑した。
大丈夫かと聞かれたら、穏やかではなかったからだ。

「んー、まぁなんとか。」

そう言って、フッと2人で笑い合う。
イルカは、報告書に印鑑を押しながら呟いた。

「なんだかサクラ、最近妙なんですよね。」
「というと?」
「結構任務入ってて疲れているはずなのに、アカデミーの巡回をしてくれているんですよ。」
「巡回?」

カカシがその言葉に反応した。
確かに今のサクラは、2日に1回は任務があり、多忙を極めているはずだ。
にもかかわらずアカデミーの巡回を請け負っているという。
しかも巡回はイルカの仕事だったはずた。

「巡回はイルカ先生の仕事だったハズじゃ?」
「そうなんですよ。でもサクラが、暫くわたしがやります、って言ってくれて。」

イルカは、報告書に目を通しながらそう言った。

「それっていつからですか?」
「3週間くらい前ですかねー。」

(…ふーん。そゆことね。)

カカシはイルカに解らないように少しだけ口の端を上げた。

「提出、お疲れさまでした。」

イルカの声で、現実に引き戻される。

「まぁサクラのおかげで、俺はかなり楽になったんですけどね。」

確かに、イルカは任務、授業、受け付け業務と、何かと忙しそうだから、それをサクラが見兼ねた、とも考えられる。

「でも、違うだろうなぁ。」
「え?何が違うんです?」

イルカが、訝しげにカカシに問う。
カカシは慌てて釈明した。

「あ、いえ。何でもないです。では。」

スッと軽く会釈すると、カカシは受け付けを後にした。
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