合わせ鏡

□囚われて…
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「う…う…ん……」

「あ、気が付いたんだね、良かった!」

リシャールの瞳に映ったのは、自分と良く似た金髪の美しい青年だった。
あたりは薄暗く、湿ったかび臭い空気がたち込めている所から、ここはきっと洞窟か地下室のような場所なのだろうとリシャールは推測した。



「うっ…」

上体を起こそうとしたリシャールは全身をかけめぐる痛みに顔をしかめる。



「あ、まだ動かない方が良いよ。
致命傷はないようだけど、あちこち怪我をしているからね。」

「ここは、どこなのです?」

「ここは…竜人の住処さ…」

「竜人の…?
そうか、私はあの時、戦いが30分を過ぎて体力が尽きて倒れ、そのまま竜人に連れ去られたのですね。
あ…ユヒト殿は?……ユヒト殿はどこです?」

「ユヒト殿?
さぁ、ここに連れて来られたのは君だけだったよ。
その人は、別の場所に連れて行かれたんじゃないかな?」

「別の場所…?」

「…ここはイケメンだけが入れられる檻なんだ。」

「イケメンの檻…?」

「そう…君は竜人についてはあんまり詳しくないようだから説明してあげるね。
生け捕りにされた人間達は、ふるいにかけられるんだ。
ほとんどの人間は食料にされるんだけど、身体が頑丈で丈夫そうな人間は労働に、そして、女王の好みそうなイケメンは女王の玩具にするために別の檻に入れられるんだ。
君の知り合いがここにいないってことは、労働の檻か、もしくは食料の檻に連れて行かれたんだろうね…」

リシャールはあまりの衝撃に声も出せず、陸に上がった魚のように、ただ口をぱくぱくとさせるだけだった…


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