【現語り】

□BLOOD CHAOS  第一章 螺旋
2ページ/52ページ


降りしきる雨の中、彼はそこにいた。
路地裏の薄汚れたビルの変えに背を預け、漆黒の髪の下の顔は血の気が失せて青白い。
コンクリートの道を染めている鮮血は、彼自身のものだ。
黒いコートを己の血で赫く染めた彼の体温を、冬の冷たい雨は無情に奪っていく。

吐いた息が白いもやとなって消えていく。
傘を持った右手が雨に濡れて感覚がない。




クリスマスを前日に控えた、雨の日の夕方。





   俺は、そいつに、出会った。


††††† 



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ