Gift novel.01

□不法投棄 前
1ページ/1ページ






「今晩和」



奴は平然と笑いながら
何時ものように、何時もより落ち着いた深い音が混ざる声で言った


そんな挨拶普段なら無視すればそれで終わりだ
気に入らなければ口をきけなくするまで


だが今回は違った
相手が立っているのは自分達が今使っている建物の中、
そして奴の足元には倒れた(一応)部下が転がり、
その中で奴は傷一つ無く、返り血すら浴びずに立っている

ヴァリアーのボスとトップである六人を前に、彼はそれでも平然と振る舞う
足元に転がる人間ももはや眼中に無い様だった



「御免ね?通してって言ったらこの人達が襲ってきたんだ」



少し困ったように眉を寄せた、
その口元は笑っていたのだから説得力など皆無だったが



「何しに来やがった」


ザンザスは戸惑いを内に隠し、相手を睨み付けた
昼間はガタガタ震えていた華奢な体は
今は鋭い視線や殺気を向けるヴァリアー側の守護者やザンザスにすら怯む事無くニコニコの立ったままだ


そこに居た全員が動揺してはいたが、
さすがはヴァリアーといったところか、一人も顔に出る事はなかった



「怒らないでよ、ザンザスさん」



侵入者はザンザス達の殺気などそ知らぬ顔で
ゆっくりと歩くとそのまま壁にもたれかかった



「ねぇ、取引しない?」



「はぁ?」



「後継ぎ問題、あれ正直言ってイイ迷惑なんだ」



その言葉でまたピリピリとした緊張感が高まった部屋に
この状況を作り出した本人はあぁ、違うんだ。と呟いた



「つまり、ね?
面倒ごと無しで解決しない?」



クッと口を歪め、目を細めて奴は笑った



「俺をさらって欲しいんだ
それから向こうで、イタリアで沢田綱吉を消してほしい」



さぁ、どうする?
そう言って表情を無くしたそいつに、
逆らえる奴が居たなら見てみたい、とそう思った







.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ