Gift novel.01

□不法投棄 中
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さぁ、始めようか




「さようなら」



瞳に涙をため、悲しそうに顔を歪ませ綱吉は彼等を見つめた




最初から違和感が拭えなかった

リング争奪戦が始められるハズだったその場に、
綱吉の姿が無かったからだ

彼の守護者達は遅れて来るだろう、と思っていた

その考えは確かにあたった
ただ、当たらない方が良かったのだろう


彼は、敵であるヴァリアーの面々に囲まれて表れた






悲しげにたたずむ彼の背後には、七人の黒服を着た男たちが楽しげに口を歪ませ
自分達を睨み付ける、茶色の髪を持つ少年の守護者達を見やる


ザンザスは綱吉の肩に手を置いた


ビクリと綱吉の肩が震え、それを見てまた口の笑みを濃いものにすると、
綱吉を引き寄せ後ろから抱き込んだ


クッと腕に少し力を込めてみるとまたガタガタと震える華奢なその姿が滑稽だった



「十代目!」



「ツナ!」



守護者達の呼ぶ声を聞いてビクリと震え前に回されたザンザスの腕をクッと掴んだ



「みん・・・・な・・・・」



大きな瞳に涙をためて、
か細い声で呟く綱吉に

守護者達は怒りの色を濃くした



「ツナを離せ!」



綱吉の守護者達は各々が武器を構え、
殺気を隠そうともしなかった

普段はつねに余裕な家庭教師までもが
今では焦りを隠しきれないでいる



奴らも、暗殺部隊である自分達も、あのアルコバレーノすら
この腕の中で震えている存在に弄ばれていると思うと滑稽で仕方がない



「ザンザス、お前ツナに何しやがった?」



「違う・・・・」



リボーンの怒気を孕んだ声に答えたのは以外にも綱吉だった



「俺は・・・・自分の意志で・・・・行くんだ」



途切れ途切れにはっせられた声はどう考えても
自らの意志で言っているとは思えないものだった



「探さ・・・・ないで」



震える声でそう呟き、俯いた


(あぁ、見せてやりてぇな)


ザンザスは笑い出しそうになるのをこらえて
自分の腕の中、自分と同じように笑いをこらえて愉快そうに口を歪める人物を見る

目の前で睨み付ける奴らに、
俯いているこいつの顔を見せてやったらどんな反応をするのか


笑いを堪えて口を歪め、
笑い声を出さないように肩を震わせているこいつを


綱吉がクッとまたザンザスの腕に指を食い込ませたのが合図だったように


ザンザス達はその場から走り去った









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