Gift novel.01

□我慢しないで
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アンケ3位
10年後からの客人(10年後綱×綱)
お礼文





『が』まんしないで




ランボが射った故障した十年バズーカが俺にあたり
十年前の世界に来て20日目

十年前の自分からは綱吉さん、と呼ばれて
俺の存在はすでに彼の中では日常の一部とかしているようだった






今日もツナが武や隼人と学校に行くのをリボーンや奈々さんや(いくら母親でも十年前なのでさん付けだ)と見送った
昨日は奈々さんがすすめてくれたので
この家に泊まったのだか



(やっぱり賑やかだったんだなぁ)



耐えずランボやイーピンなどといった居候や、ツナとその友達で騒がしい
思えばリボーンが来てからだ
一気にこの家の人口密度が上がったのは

(あの頃は気にしなかったけど
この時の我が家の状況は普通ではなかった

リボーンという無茶苦茶な存在に俺の常識がマヒしていたのと
母さんがその天然を発揮していたために
我が家ではそれが異常だとは承認されなかったが)



綱吉は奈々がしていた朝食の片付けの手伝いが終わると
一人でふらりと散歩に出かけた
なんとなく、外をゆっくり見て回りたい気分になっていた





「平和だなぁ〜」



自分が覚えている十年前とまったく同じの景色の中
綱吉はぶらぶらと気儘に散歩をしていた



(俺が穏やかなこの場所をなくして
何年になるだろう)



自分はもう縁のないはずの穏やかな日常が
思いがけず再び与えられた



(もしかしたら、今の状況に一番馴染めていないのは
自分かもしれない)



綱吉はそう考えると、滑稽だと苦笑いをこぼした



今の自分は、自分自身が選び、決断した結果だ

けれど、十年前の自分である彼を見ていると
彼と一緒に居ると

何故だか自分が彼からこの日常を奪ってしまったような気分になる



(選んだのは自分だったのに)


(その結果が彼の未来でもある、今の俺だ)


(・・・・でも、)



何故か彼にはこの平穏な世界で笑っていてほしいと思う
血と裏切りと策略と殺意と金と業が降り掛かる世界は
あの小さな少年にはきっと似合わない



(俺はあんなふうだったのだろうか)



すでにその世界に身を投じ、慣れてしまった自分と彼とは
まったく別の人間にしか思えない



考え事をしながら歩いていると
懐かしい建物が目に飛び込んできた



「並中・・・・」



無意識のうちに足を向けていたのは母校だった

思えば此処でも色々なことがあった



「やっぱりツナも同じ道を辿るんだろうな」



ツナ、と呼んでいる十年前の自分
きっと俺が彼に出来ることなんて無いのだろう


でも



(せめて彼が帰ってきたら抱き締めて、うんと甘やかしてやろう)



真っ赤になってあわてるだろう少年を思って
俺はまた来た道を引き返しはじめる



(きっと自分は
彼が少し気を抜ける場所であることは出来るから)












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