novel.01

□身長
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何も言ってこなかったから、諦めたか興味が無くなったものとばかり思っていた。


広い部屋に居るのは、中央に置かれた大きな、値が張るであろう仕事机に座った青年と、彼に覆いかぶさる様に迫っている少年の二人だ。



「何のつもりだ?コロネロ」



迫られている、というのに何処か余裕をもった態度で話し掛ける。



「約束を忘れやがったのか?コラ」



青年が少年に問い掛けると、少年は少し機嫌が下がったようだ。



「俺もう30なんだけど」



「知るか、コラ」



コロネロは今の態勢を崩そうとはしない。

押し黙ったままの綱吉を見下ろしたままだ。



「本気か?」



余裕を崩さい態度のまま、最終確認。



「何年待ったと思ってやがる」



発せられた言葉は擦れ、
彼の形の良い眉は歪んでいる。

本当に、何年待ったと思っている。



「八年も待ったんだぞ!コラ!」



八年前、自分が目の前の彼に今日の様に迫ったとき、
綱吉はマセガキ。と自分を相手にもしなかった。

それでも尚諦めないコロネロに、綱吉は



「そう言う事は、俺よりでかくなってからにしろ。
俺よりでかくなったら相手してやるよ」



と言ったのだ。



(あれ以来、何も言ってこなかったから
諦めたか興味が無くなったものとばかり思ってたのに。)



彼の想いは自分が思っていたより、強かったらしい。


そう思いながら、自分より一回りも年の離れた金髪の彼に目を向けると、
なんともらしくない顔をしていた。


その表情に苦笑してしまう




あぁ、そんなに欲してくれていたのだと思うと、彼を拒む気にはなれない。

第一、自分も彼には好意の様なモノを持っている。



綱吉はコロネロから伸ばされた手を拒まなかった。



「八年も焦らされたんだ、手加減して貰えるなんて思うなよ、コラ」



なんとも不吉な台詞に、苦笑し、

年下の彼から送られるキスに目を閉じながら思う。


(俺本当に30だから手加減して欲しいんだけど)







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