novel.01

□愛人関係
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うん、可愛い。
癒される、のだろう


ぽかぽかと暖かい陽気の中、
執務室でのんびりとお茶を楽しむのはドン・ボンゴレ十代目

久々に気持ちのいい暖かな陽光に誘われ、
窓を開け微風を受けながら
優雅に紅茶を楽しんでいた


仮にもあのドン・ボンゴレが屋敷内とはいえ武器も持たずに窓を全開にしてお茶、など
何も知らないものから見れば恰好の標的に映るだろうが、

ボンゴレ十代目を知る人ならば今ボンゴレを襲うことは死を意味することを知っていた

この人物に限っては武器を持って居ないほうが物騒なのだ

彼の戦闘スタイルを知る人ならば皆が知っている

彼が一番得意とするのは素手での戦闘ということを

最初、それを知らずに素手の彼を狙い、ボンゴレに消された雇われヒットマンは多い



そんなドン・ボンゴレの膝の上に今は一匹のカメレオンが乗っていた

綱吉がそのヒヤリとした体を撫でると
少し気持ち良さそうにするのだ

うん、可愛い

やはりいくら顔が良くても自分より身長がある男の部下達より、

こういった可愛い動物と過ごすほうが、
癒し効果を求めるには合っているのだ。


あの元家庭教師の子供のペットである彼とは、リボーンと同じで長い付き合いになる


あの赤ん坊の帽子にちょこん、と乗っていたときから比べれば、彼も随分大きくなったなぁ、と思う


形状記憶カメレオン、という少々変わったカメレオンだが、やはりこうしていると可愛い。


ふと思う。

(数多くいる愛人の中にも、こんな安心して過ごせる相手なんて居ないんだよなぁ)



「なぁレオン」



人語を理解するカメレオンは綱吉を仰ぎ見て首を傾げる



「お前と居ると落ち着くよ、お前は?」



俺と居て落ち着く?と優しく微笑みながら問い掛けると、

彼は緑の長い尻尾を自分を撫でていた綱吉の指に絡めてコクリと頷いた



「そっか」



ふわりと微笑むと、
綱吉はおもむろに膝の上で寛いでいたレオンを抱き上げた

きょとん、としているレオンを見て、
やはり可愛いと思う



「じゃあさ、俺をレオンの恋人にしてよ」



冗談混じりな本気の告白をすると、大きな目を更に見開いて驚いていた


それから直ぐにコクリと頷いたレオンに満足そうに頷いてキスを一つ落とし膝に戻した

綱吉は先程のように膝に乗せた緑色の体を撫でつつ、
少し冷えてしまった紅茶を飲み下した

今日はついさっき恋人になった小さな彼とのんびり過ごすのも良いか、と

暖かい陽気の中、欠伸を噛み殺しながら思った








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