novel.01

□ハロー・ハロー 3
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二人の男に、会場の女は頬を染め、男も見入っていた

しかし、此処は中学の同窓会の会場である。

誰だ?と二人を眺めていると、

長髪の男が一点を見て笑みを深くした

二人が歩いて行く先には一組の男女



「久しぶり、山本、京子ちゃん」



燐とした声は、やはり落ち着いていてよく通る澄んだ音



「ツナ・・・・?」



「ツナ君・・・・?」



ニコリと綺麗に笑う顔は、あの時の苦笑じゃなくて。
けれど優しい笑顔だった

驚いたままの二人を見て、綱吉はクスリと笑うと



「二人とも変わったね」



などと言うから

天然な所は変わってないのかと密かに思った

綱吉が少し視線を周りに移すと、見覚えがあるような無いような面々がこちらを見ていた(ほぼ全員がこちらを見ているのは気にしていない)



「あ、もしかして黒川?」



その中で黒髪でつり目気味の女性を見付け、声をかけた



「あんたホントにあのダメツナ?」



「ダメツナって聞くの久しぶりだな〜」



心底驚いた様子の黒川に、綱吉は可笑しそうに笑った



「アンタ変わったわね」



「黒川も綺麗になったね」



こういう台詞を平然と言ってのけるなど、以前では考えられなかった
黒川は赤くなり閉口した



「ツナ・・・・」



呼ばれて振り向くと、
戸惑ったような顔。



「今まで何処に居たんだ?」



「高校からイタリアに渡ったんだ
今もそっちに住んでる。隼人もだよ」



無理に明るく振る舞っている山本に合わせ明るい口調で言う


本当は動揺していることを隠して笑う彼の笑顔はつらそうだ

自分が原因だなんて分かり切っていたけれど、
過去の選択は今でも後悔していないから、どうしようもない。



「なぁ、ツ「山本、あっちで話そう」



「・・・・あぁ、」



少々強引に誘えば、彼も快く承諾してくれた


ついてこようとする獄寺をいさめ、二人は大勢の視線を背中に受け、会場の外の庭に移動する


中よりも格段に静かな庭で、山本は隣に立つ綱吉を横目に見た

顔つきが変わった、雰囲気が変わった、落ち着きが出た、背が伸びた、髪も伸びた、
離れてた間に、中身も外見も変わったように思う



「なぁ、ツナ」



「何?」



「何時までこっちにいるんだ?」



「・・・・すぐに帰るつもりだよ」



「そっか」



寂しそうに笑う山本を見て見ないフリをするしか出来ない自分に嫌悪感がわいた
だってソレが一番楽な方法だって知ってるから

山本の意志なんかまるで無視して、巻き込みたくないから
平和に、普通に、血や死体や銃声や悲鳴から遠い場所に居てほしかったから
置いてきた

それも結局自分のため


肩に手を置かれ、自分が思考にのまれていたことに気が付いた








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