novel.01

□ハロー・ハロー 4
1ページ/1ページ





「なぁ、ツナ」



真っすぐに俺を見る山本の目が、あまりにも真剣で

肩に置かれた手が少し震えてた



「俺も・・・・」



携帯の電子音が響いた
哀しげなメロディ、スローテンポ


綱吉は携帯を取出し、話し始めた

流暢なイタリア語は、全然理解出来なくて
何を言ってるのか解らない、流暢に異国の言葉を話す彼の横顔は
何故だかまったく知らない奴みたいだった

綱吉は携帯を切って山本の方に向き直った
笑っているけれど寂しそうな、悲しそうな山本の顔が目に入る

ごめんね山本
俺はヒドイ奴だから


肩に置かれた手は何時の間にか無くなっていた



「山本、ごめんね」



さっき山本が言おうとしてたコトは解ってる
でも、一緒になんて連れていけない
だって俺は山本の意志より自分の我儘を選ぶような奴だから



「タイムリミットだ」



携帯を閉じる音
ガヤガヤと煩い会場
人の話し声
その他

確かに雑音は多かった筈なのに、その声は嫌にはっきり聞こえた


だって待ってるんだ
俺をしたってくれる部下だとか、大切なファミリー
親愛なる家庭教師
それに護り、背負うと決めたボンゴレの名だとか



「バイバイ、山本」



余分な感情だとかイラナイものを捨てるのは慣れてる

時計を確認して、
歩き去ろうとするすれ違いざまに話し掛けた



「また電話でもするよ」



綱はそう笑って言ったけど
どうせこれから、いくら会っても話しても俺の一番の望みは聞き入れてくれない
綱はそんな奴だから

だから俺は笑って



「待ってるからな」



なんて言うしかなかった

馬鹿みたいだと思った
まるでフラレタ女みたいな台詞


でも唯一の繋がりを断ち切りたくなくて
俺はきっといつまでも電話を待ってるんだ










.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ