novel.01

□純粋な殺意
1ページ/1ページ






俺が持っている全ての感情の中で

きっと何よりも澄み切っていて
きっと、何よりも重く深く濃い



「それをザンザスにあげる」



そう言ってニコリと花が綻ぶ様に
あいつは楽しそうに笑った



「・・・・そうか」



ザンザスが楽しげに笑う琥珀に返事をすると
綱吉は白々しい程の綺麗な作り笑顔でこくんと頷く


辺りに漂うのは気分が悪くなりそうな程に張り詰めた空気と
強い強い殺気

その鋭すぎる殺気は全て自分だけに注がれている

それを出しているのは
目の前でにこにこと笑みを崩さない琥珀の少年



自分に向けられる純粋な殺意は
きっと彼自身が持っている全ての中で
何よりも澄み切っていて
何よりも重く深く濃い感情なのだと

先程言われた言葉を思い返し
クッと僅かに唇を噛み締めた


きっと何よりも純粋で重く深い感情が自分に向けられている
それに歓喜するのと同時に
それが殺気だと言うことに絶望感を抱く

そんな自分に気付く様になったのは何時からだっただろうか



(あぁ、本当に滑稽だ!)










.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ