novel.01
□ただそれだけ
1ページ/1ページ
だってイヤだから
だって嫌いだから
そんな子供じみた理由
「それだけ」
綱吉はそう呟いて息を吐いき
自分にあてがわれた広い部屋に置かれた
上等なベッドにゴロリと寝転がって目を閉じた
イヤだから、嫌いだから。そんな子供じみた理由
でも、単純じゃない
グチャグチャに混ざりあって絡まりあって
深く深くなってもう解けない、それ位
「でも根本と結果は単純なんだ・・・・」
綱吉は思いついたように呟いて
それから嬉しそうに笑った
くすくすと小さな笑い声は
一人しか居ない部屋に少しだけ響いてすぐに消えた
「あぁ、そうだ・・・・なんて単純」
「ただ大嫌いなだけだ」
受け入れられないのも
憎いと思うこの感情も
何もかも全部全部全部
「俺があいつを嫌いだから、なんだ」
綱吉はそう呟いて笑い声をもらしながら
ベッドに仰向けになったまま、目を閉じて
光を遮るように自身の両腕を閉じた目の上で組んだ
「本当にそれだけなんだ」
(それだけでこんなに厭える)
その事実が自覚してしまうと滑稽過ぎて
笑えてしまった
.