novel.01
□憎悪の色
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この気持ちに色を付けるとすれば何色だろうか
「ねぇ、どう思う?」
ふらりと部屋に入ってきていきなり問い掛けもなく
ただ答えを求めてきた来訪者は
そのままゴロリと部屋に置かれたソファに寝転がった
「なにがだ」
問い掛けるが返事はない
来訪者である綱吉は部屋の主人であるザンザスを無視したまま
ソファに寝そべりぼんやりと天井を見ていた
その様子を見て、ザンザスも
今話掛けても無駄だろうということを悟り
また向こうから喋りだすのを待つ
不意に訪れた暫しの沈黙
「色、がね・・・・」
二人しか居ない部屋にぽつりと声が響いた
「色があるなら何色なんだろうなぁ、って」
「淡い色じゃない、そんなおぼろげなものじゃない
濃い色でもない。・・・・はっきり分類できる色じゃないんだ
でもね、きっと深い色をしてるんだ」
「・・・・なにが」
ヒシヒシ伝わる嫌な予感を振り払って問い掛けると
あいつは最高の作り笑いで一言
「憎悪の色」
その言葉を放った時に、初めてこちらを見つめた琥珀は
どうにも表現仕様がない深い色が混ざっていた
(きっとお前が向けるその感情の色の名なんて
向けられている俺にも一生分からない)
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