novel.02
□敵でしかない
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アイツと俺の関係を表すとすれば
何が一番相応しいだろうか
ふと過った考えに、その時は馬鹿らしい、と
自らすっぱりと切り捨て
考えないように思い出さない様に
思考の奥深くに押し込めた
・・・・多分、理解していたのだろう
その疑問に対するアイツ答えも予想くらい出来る
それ位にはあの琥珀を見ていたつもりだ
近づけば張り詰める空気、冷たくただ拒絶を映した目
感情もこもらない無機質な響きの声
自分に向けられるのは何時もソレだ
「馬鹿らしい」
ザンザスはそう吐き捨てると目の前にあった椅子を蹴り倒す
(本当に馬鹿馬鹿しい)
(アイツにとって、俺は)
「敵でしかない・・・・」
短く吐いた言葉が思ったよりも自嘲的な響きを含んでいた
救いようがない
そう静かに呟いた
小さな音はすぐに空気に溶けて消えたが
その響きは耳の奥でくすぶり続けた
(本当に救いようがない)
(いくら否定しても願っても)
(アイツは敵としか俺を見ない)
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