novel.02

□籠の鳥の蒐集 中
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汚くて退屈なこの世界で
面白い拾い物をした



「ねぇ、拾ってあげようか?」



面白半分で言った言葉に
相手は不機嫌そうに答えた



「俺はものじゃねえぞぉ」










暗殺という仕事の帰り何時もは通り過ぎるような薄汚いその路地裏が気になった
直感、と言うものだろう

綱吉はこの直感が良くも悪くも決してはずれないことを知っていた
(ボンゴレの血が関係していると知ったときは気分が悪かったが、もう慣れた)
丁度このあとは仕事もない

最近九代目からの後継ぎの誘いが多いのと
依頼される仕事内容が雑魚の始末ばかりでストレスがたまっていた綱吉は
潰しがいのある強い相手がいたらストレス発散でもしようか、と
その路地裏に入っていった


しかし綱吉が見つけたのは
ズタボロの状態で座り込む銀髪の男だった



「死んでる?」



ピクリとも動かない男を足で軽く蹴ると
うめき声があがった



「なんだ。生きてるのか」



そう言ってやったら
男はゆっくりと顔を上げた
ボロボロの体とは裏腹に
その眼は噛み付かんばかりに爛々と光っていた


「なんだてめぇ」



擦れた声色で、けれど弱々しさなぞ微塵もみせないその態度が
何となく気に入った



「あんたこそ
どうせ敵にでもやられてこんなとこでへばってんだろ?」



「関係ねぇ゙だろ!」



「ズタボロのくせに威勢はいいよなぁ」



くすくすと笑う綱吉に
男は更に敵意をむき出しにした



「叩き切ってやる!」



「力の差が分からないほど馬鹿じゃないだろ?」



そういってやっても男はこちらを睨むのを止めない



「のたれ死ぬよりマシだぁ!!」



そういって剣を構えてくる男が理解できない

けれどその真っすぐな眼が面白い、と思う


綱吉は一歩、銀髪の男との距離をつめ、しゃがみこんで男に目線をあわせた

警戒を強くし、臨戦態勢をとる男に一言綱吉は言ってのけた



「ねぇ、拾ってあげようか?」



突然の言葉におとこが眼を丸くした
一瞬二人の間に沈黙が走る



「俺はものじゃねえぞぉ゙」



以外にも沈黙を破ったのは銀髪の男だった



「どうせ行き場もないんだろ
それにお前、強い奴と戦いたくない?

嫌なら断れ。今は俺は相手なんかしてやらない
情けなく路地裏で野たれ死ね」



そう言って少し睨み付けてやった






そう言えば名前も知らないと気付いたのは
拾ったあとのことだった








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