AKG Novel.

□月光
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手に入るのかも、なんて錯覚してはいけない

だって彼はずっと前からこのボンゴレという大きな大きな鎖に捕われながら
それでいてボンゴレという大きな檻の何より尊いボスなのだから

手に入るわけが無い
自分に思い知らせなければいけない







「ねぇ、ビアンキ」



優しげな声が私を呼んだ

広い広いベッドに埋もれる様に横たわり
白いシャツだけを着た彼の肌は
女の自分よりも白すぎていっそ痛々しい

何故か見ていられなくて
目を逸らして短い返事を返す



「何?」



「ねぇ、こっちに来てよ」



綱吉の声色は楽しげで、笑っているように響く

ビアンキはそれに少し眉を寄せ
けれど直ぐに座り心地の良いソファから起き上がり
この部屋・・・・ボンゴレファミリーのボスの自室に置かれたベッドに歩み寄った


そこに横たわる部屋の主はこの広いベッドには小さ過ぎる様に見える

浅いため息を吐いてベッドの端に腰を下ろせば
綱吉は子供のように嬉しそうに顔を綻ばせた



「あなたは何時までも子供みたいね」



そう言うと彼はいっそう笑みを深くした

(でも、違う
ソレは貴方が上手につくった作り物)



「貴方はまだ子供よ」



ビアンキは綱吉の柔らかい髪を撫でながら
もう一度言い聞かせるみたいに言う

白い肌、細い腕、甘やかな笑顔
全てが愛しい、でも
白いシャツの隙間から見える肌からは目を逸らしたかった



「ビアンキは?」



「ビアンキはどうなの?」


綱吉の先程より幾分か細められた目は
冷たい光を宿していた
でも、声はひどく無邪気な子供の様


(あぁ、彼は楽しんでる)


長い付き合いだから分かる、彼の本音が痛かった



「私も子供なのよ」



そう言ってベッドに横たわる彼の上に素早く移動し
彼の白い白いシャツを、破くようにして前を暴く
ブチブチとボタンの千切れる音が、枷が外れる音に聞こえた


隠すものを無くし、さらされた彼の白い肌
そこに点々と散る紅が、憎らしい


(誰が付けたかなんて知ってるもの)


赤い跡をなぞるように指を這わせれば
ツナが短く声をもらし息を詰める


それでもこちらに向ける目には焦りなど少しも浮かばす
だだ琥珀の瞳がこちらを見ている


(分かってるわ
子供みたいなんて嘘
貴方はもう随分前からボンゴレのボスに成ってしまっていたんだもの)



「あの人に抱かれた後なんて、タイミングが悪かったわ」



触り心地の良い肌を撫で
彼の首にキスを落としながら言うと


彼は赤く染まった顔で挑発するみたいに笑って
何時もよりも少し高い上ずった声で



「ビアンキがそれを望んでるんじゃないか」



そう言った

何故かそれ以上聞きたくなくて
荒々しいキスで彼の口を塞いだ






もし貴方が、私が手を伸ばして欲することが許される存在なら良かったのに











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