AKG Novel.

□Re:Re
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グルグルと渦巻く汚い感情も
ただ口からもれる意味もない言葉も
自分自身に、そして彼にとってもきっと無意味なんだ







「ねぇ、スクアーロ
俺は愛されるのが恐いんだ」



仕事で執務室に書類を届けにきたスクアーロに
綱吉はまるで独り言を言うかの様に淡々とそう言った



いきなりなんだ、とでも言いたげなスクアーロを気にするでもなく
綱吉はスクアーロから受け取った書類に目を向けたまま
感情のあまりこもってない淡々とした声で
さらに言葉を続ける



「誰かがもし俺を愛してくれても
俺は何もあげられないし、
俺に愛なんて重すぎてきっと潰れて死んじゃうんだ」



(だってそうだろ?)


(こんなに汚い俺が愛なんて貰えるはずないけど)


(こんなに嫉妬に塗れて今にも壊してしまいそうな俺に
貴方以外からの感情以外受け入れる余裕なんてない)


「ねぇ、俺のことどう思ってる?」



ずっと自分のなかで渦巻いていた汚い嫉妬に満ちた言葉を
口にした弾みなのか違うのか
ずっとずっと聞きたかったけど恐くて聞けなかった言葉が
するりと口から零れた



(嗚呼!!馬鹿みたい!!
そんなこと知って何になるって言うんだ!!)


(彼の答えを聞きたくなんて無いくせに!!)



目の前で何にも言わずにこちらを見ているだけの彼の
その瞳に普段映っているのは誰だろう、とか
その綺麗な銀髪は誰の為に伸ばされたものかとか

もうわかってる

だけど俺の脳は理解なんてしてくれない



「ねぇ、俺が憎い?」



(ねぇ、愛をザンザスにあげてしまってるのなら
せめて憎しみを頂戴

貴方の大事なボスからボンゴレを奪った愚かな俺を憎んで


・・・・だって愛情と憎しみは似てる、んだ)



内心では情けなく泣きだしてしまいそうな自分を
見せないように何時もの作り笑顔を浮かべる


にこりと綺麗に笑えた筈なのに
貴方は俺の顔を見て
何故か苦しそうに眉を歪めた



「憎くなんかねぇ・・・・」



ボソリと吐き捨てるように言われた言葉に
心がサッと冷えていく気がした



(嗚呼、貴方は俺に何一つ与えてくれない!!
愛も、憎しみも、何一つくれない!!)



叫びだしそうになる自分を殺して
精一杯の虚勢で彼を見つめた



「じゃあ、俺のことどう思ってる?」



「・・・・お前になんか興味ねぇな」



そう言った彼に
足元から何かが崩れていくのを感じた



(ねぇ、ねぇ、知ってる?スクアーロ

愛の反対は憎しみじゃないんだよ

俺が一番欲しかった愛の反対は
俺が一番怖かった無関心なんだよ)



「そっか・・・・ありがとう」



ぐちゃぐちゃに掻き乱れてる心情に反して
落ち着いた声がするりと出た


(変だ、なにこれ)



「いきなり変なこと聞いてごめんね」



「下がっていいよ」



俺の言葉にスクアーロは一瞬眉を寄せて
けれど直ぐに背中を向けてドアに歩いていく




(何コレ)


(ねぇ変なんだ)


(助けて)



訳が分からない程に自分の感情と
自分の言葉が噛み合わない


(怖い怖い怖い!!助けて!!)




凍り付いたみたいに動かない手を必死に伸ばそうとした
震えながら少しだけ貴方に伸ばされた手は

パタンと静かに閉じられた扉に
意味を失った





一人になった部屋で
今までは彼を思うたびに泣くのを堪えていた涙が
もう泣こうと思っても流れてきてくれなかった













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