Gift novel.01
□夏風邪はバカが引く?
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よく日本では『夏風邪はバカが引く』とか言われてるけど……あれって絶対嘘だよな〜……と思う。
だって、現に今風邪を引いてる子供たちは、どう見たって全員バカではないし(例外的に綱吉の事に関してはかなりのバカなのだが、綱吉自身は気付いていない)。
それにしても…………
「アルコバレーノって……全員体質似てるのかな…?」
揃って風邪を引いているのが不思議で、首を傾げながらポソリと呟いた言葉に、すぐさま反応したのはリボーンとコロネロ。
「そ……ゴホゴホッ…な事……ね…ゴホッ…ぞ…」
「こ、こん……ゲホッゴホッ……なやつと…一緒に…ゴホッ…すんなコラ…」
ゲホゴホと咳き込みながら苦しそうに反論されて、俺は「分かったから大人しく寝てようね」と告げながら、今もフラフラしながら起き上がる二人をベッドに押さえ付けるようにして寝かせる。
「ゴホッゴホッ……あ、相変わらず…ゴホッ…バカ……」
「す…こしは……ゲホゲホッ…大人…しく…してたら…?」
それを見て呆れた顔(熱でかなりぼんやりしてはいるが)で言って咳き込むマーモンとヴェルデに「はいはい、お前たちも苦しいなら無理に喋らなくていいから」と言ってずれた布団を直してやる。
「つ、綱吉……ゲホッゲホッ…俺たちは…いい……から……」
「仕事……ゴホッ……行けよ……ゲホッゴホッ……」
そんな感じでさっきから他の四人の世話をする俺に、苦しそうにしながらも気遣いを見せるスカルとラルだが……やはり心細いのか(病気なんて滅多にしない……つうかしてるとこ見た事ないし)、俺のシャツを掴んだまま。
そんな二人を安心させるように頭を撫でながら。
「ああ、いいよ。今日は仕事サボるから」
ニッコリ笑ってそう言えば、全員が驚いた顔をする。
「「「「「「な……ゲホッゴホッ…んで…(だコラ)…」」」」」」
全員揃ってゼイゼイと息を切らしながら問い掛けてくるのに、小さく苦笑しながら。
「だって、お前たち………俺が見てないと大人しく寝てないでしょ?……見てても大人しく寝てないけど……」
実際、さっき仕事してたら起き出してくるし……と全員を見回せば、さすがに覚えがあるせいか、全員見事に眼を逸らす。
困った事にこの虹の子供たちときたら、俺が眼を離すとすぐに起き出してきてチョロチョロチョロチョロ……それも、仕事してる俺の周りにたむろして、ゲホゲホゴホゴホ大合唱。
これでは気になって仕事どころじゃない。
「そういう事で、今日は俺が一日付きっきりでお前たちを見張ってるから、大人しく寝てるんだぞ?」
分かった?と確認するように見回せば。
「ゲホッゴホッ…仕方……ねぇ…な……」
「仕方……ゲホッゲホッ…ね……から……」
「ゴホッゴホッ……つな…よしが…いるなら…」
「大人…しく……ゲホッゴホッ…してる…よ…」
「だ……から……ゲホッゲホッ……今日……は……」
「ゴホッゴホッ……ずっと…側に……いて……」
仕方ないと言いながら、それでも珍しく気弱になっているのか、縋るように見上げてくる子供たちの視線に。
「うん。今日はずっとここに……お前たちの側にいるから、安心しておやすみ」
安心させるようにニッコリ微笑みながら、一人一人頭を撫でていく。
それで漸く落ち着いたのか。
「「「「「「………絶対……だぞ(だぜ)(だよ)……」」」」」」
呟いて、すぅ……と眠ってしまう子供たちにクスリ…と微笑みながら。
「おやすみ、俺の愛しい子供たち………早く元気になってね」
囁いて、また頭を撫でながら、俺はその眠りを見守るのだった。
そして、後日……すっかり良くなった子供たちと入れ替わりに風邪を引いた俺だったが………
俺の看病で一つ行動を起こすたびに問題を発生させる子供たちに、逆に不安になった俺の風邪が長引いたのは言うまでもない。
“fine”
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