long.001

□夏の日、残像(2)
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悲しみの訳






朝、目を覚ますと、冷たかった。
何なんだ、と顔に手を当ててみると、ボタリボタリ、と頬を水が伝っていて、初めて自分が泣いているのだと理解した。



「うわぁ、まいったな」



こんなのずっと無かったのに。

情けないが十年前はしょっちゅうだった。
初めてはツナが死んだ、と聞かされて、確認して、もう居ないと理解して、そんで初めて寝た日の朝、今と同じ状態になってた。



十年かけて納まったのに、今更ぶり返したのはきっと、アイツの墓の前にいた人物のせいだろう。


ツナを思い出してしまった、それもえらく鮮明に。


30近い、それも男が、と思う。



でも、今日は何か違う気がする。泣いた理由が。
『悲しい』には違いないのだが、何故だか、アイツを失って悲しい。と言うより・・・・

そこまで考えて止めた。


(ああ、まだこんなにも引きずっている)










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