long.001
□夏の日、残像(6)
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敢えて見ない
「獄寺君の事頼んでいいですか?ディーノさん」
「あぁ」
「すみません、他に頼める人居なくて」
「アレが『沢田綱吉』が原因で死のうとしたら、どうするつもりだ?」
あいつはありえない、と言う顔をしてから
少しだけ考えるようなフリをして
「三年後以降からならボンゴレに入らないかって俺がスカウトしに行きますよ」
そう言った
それがあいつが渡伊する前に交わした契約だった
彼との約束を守るために、俺は獄寺に言ったんだ
「三年後、五体満足で生きてたらツナの伝言教えてやるよ」
廃れて荒れて腐って荒んだ目をしてやがった。
今すぐにでも野たれ死にそうで面倒臭かったから
目の前に餌を釣り下げて生かしておいた。
「おい、約束のモノ寄越せ」
随分久しぶりにいきなり尋ねてきて挨拶もしねぇで第一声がコレだ
「まだ覚えてやがったのか」
「当たり前だ!!」
(必死だな)
「三年たって落ち着いただろ
それともまだアイツの後を追って死のうなんて思ってんのか?」
適当に流してやった、三年たってこいつが安定してたらそれで良いと思ってたから
「てめぇ騙しやがったな?!」
「感謝しろ、あん時あぁでもしないと死んでただろ」
「ふざけんな!!もう生きてる意味なんかねぇんだよ!!」
やっぱりな。こいつの忠犬ぶりは変わってねぇ
「アイツしか見えてないのか、それとも他に見えてないのか解んねぇな」
思い返せば損な役回りばっかだな、と空を仰ぎ見ておもった。
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