long.001

□タイトロープ(2)
1ページ/1ページ





「ベル」



「ナニ?」



綱吉は膝にマーモンを乗せ、抱き締めた態勢でベルフェゴールを呼んだ



「何で俺が悪女なの?」



少し心外そうに拗ねたふりをして聞いてきた



「ねちっこいな〜」



「まぁね」



綱吉は掴めない
解らない、思考が読めない
何を考えてるか解らない
本当は何が好きで、嫌いかすら解らない



「ひどいなぁ〜俺は自分に正直なだけだよ」



思考を遮ったのは綱吉の声



「あぁそっか、読心術使えたんだ」



つまんない、とこぼすと
綱吉はまた綺麗に笑った



「だって綱吉はレヴィには言わない」



それまで黙っていたマーモンが綱吉の膝の上で言った

(俺と綱吉ばっかで話してたのが嫌だったっての?
そっちはもう赤ん坊って年でもないくせに
そんな特等席に居るのに)



「そうそう」



内心の感情を表に出さずマーモンに同意した



「言ってないって何を」



心底不思議そうに尋ねるから
少し目眩がした



「綱吉レヴィに言わないじゃん、よくやった、とかそーゆーの
さっきも俺とマーモンには言ったのに」



少しだけ驚いたような顔
直ぐに冷たい笑顔に変わったけれど

綱吉はマーモンを膝から下ろして、椅子に深く座りなおした



「何でそれが理由になるのさ?」



「解ってんじゃん、アイツ綱吉が生きがいの変態だし?」



俺はそう言って近くの椅子に座った
だっていい加減立ってるのもタルイし
そしたらマーモンも別の椅子に座った



「俺は自分のコト投げ出す奴は大嫌いなの」



「何それ」



「自分顧みずに俺の命令ばっかに忠実で
任務から帰ったら傷だらけなんかになってる奴を誉める様な言葉持ってないから」



にっこりと愛らしい笑顔を張りつけた顔
その口から出てくる言葉は刺々しい



「ふぅん」



取り敢えずそう返事をしてみた



「綱吉は残酷なんだね」



「マーモンに同感」



「俺はマーモンに対しては優しくしてるつもりだよ?あぁ、もちろんベルにもね」



綱吉はそう言って深く腰掛けていた椅子に座り直した



「だって君たちは俺を守ろうとして傷つかない」



そうでしょ?なんて囁く
優しく釘を刺された


解ってるよ
そんなことしたら、君は俺を捨てるんだろ?



「そんなことするわけないじゃん
だって俺、王子だし」



だから

捨てないでなんて女々し過ぎるけど


綱吉はまた書類を処理し始めた
うん、まだこの場所に居たい
だって此処は居心地がいいから









.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ