long.001

□タイトロープ(4)
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「ベルは嵐かなぁ・・・・」



「何が?」


隣で何やら箱を手に、ダラダラとソファに寝そべっていた綱吉の呟きにベルフェゴールは問い掛けた



「ん〜?」



あぁ、とソファに仰向けになった状態のままで
こっちを覗き込んでいるベルフェゴールに視線をやると



「コレ」



と、それまで見ていた箱を開けて見せた



「ハーフボンゴレリングじゃん」



「そ、まったく厄介なモノ押し付けてくれるよ」



綱吉は迷惑だ、と顔を歪め、心底嫌そうにリングを一瞥すると細やかな細工が施された箱の蓋のふちを指でなぞった



「守護者選んでんの?」



「まぁね」



綱吉はそう言ってベルフェゴールを仰ぎ見る



「ベルは嵐でいい?」



「俺にもくれるんだ」



綱吉は口元に笑みを浮かべ、嵐のリングを手に取った



「あげなかったら他の奴を殺して奪い取るんでしょ」



くすくすと笑い綱吉は次に大空のリングを手に取り、眺めながら言った



「俺は大空なんだって
そんなもの、なりたくないのに」



ふぅ、と溜め息をこぼし指輪を薬指にはめる



「俺がもし十代目就任を拒否しきれなかったら、
俺は大空と結婚するよ」



誰のモノにもなりたくない
誰かを自分のモノにするのも嫌だから、
そうやって今まで拒絶し続けたボンゴレの椅子も、
このままでは継ぐことになるかもしれない
だったらその報復に自分の血を継ぐ世継なんかつくってやらない




「うしし永久就職じゃん」



「でも離婚するかもね、しかも引退するころだから熟年離婚?」



「じゃあ再婚は俺としてよ」



半分冗談半分本気で言ったらハイハイ、と流された

ふいに、綱吉の指にはまったリングが鈍く光った様に見えた



「ねぇ、俺にもはめてよ、嵐のリング」



「いいけど?」



綱吉は俺が差し出した手の中指に、リングを通した



「薬指じゃないんだ」



そう言ったら綱吉は
まだ結婚するかわからないだろ?と自分にはまった大空との婚約指輪を眺めていた


そんなに嫌なら俺がさらってくよ?、と小さく呟くと
彼は諭すように



「俺はベルより強いから、無理だよ」



自分に言い聞かせるように言い切った










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