long.001

□タイトロープ(5)
1ページ/1ページ





「俺書類嫌いなんだよね」



彼は机に重ねられたほんの数束の書類を一瞥し、
面倒臭そうに顔を歪めた



「面倒だし、最近は文が幼稚だったり間違いが多いんだよ」



だから最近の書類漬けでストレス溜まってるんだ、と
にこりと微笑み

綱吉はそれまで目を通していた一枚の紙をこちらに向けた



「付き合ってくれる?」



「良いよ〜」



久しぶりの綱吉からのお誘いだし、と
美しい金髪にティアラを乗せた男はうしし、と彼独特の笑い声を響かせた



綱吉の手にした書類の内容はボンゴレの敵対マフィアの戦滅要請を記したものだった



「ああ良かった」



ストレス死したくないから体動かしたかったんだけど
一人で乗り込むにはあんまり屋敷が広くてね
逃がしちゃうかもしれないし、でも使えない奴らゾロゾロ引きつれて行くと
足手纏いになって今度は俺が暴れられなくなるから困ってたんだ


そう言って綱吉は先程より幾分か機嫌よさげに笑ってみせた



「楽しみだね」



ベルフェゴールにかけた声は何時もより高かった

あぁ本当に楽しみ



「あそこのファミリーは前々から気に入らなかったんだ」



「俺も〜てゆうか気に入らなかったなら命令なんか待たないで
さっさっと潰せば良かったんじゃん」



「そんなことしたら後どれだけマフィア潰さなきゃなんないのさ」



あぁ、
口は綺麗な弧を描き、目を細めて楽しそうに笑う

でもね綱吉

その笑顔はすごく冷たい
ゾッとするくらい冷たい
まるで獲物を刈る獣の様だ
でもそれが好き、だって綺麗
俺のお気に入り



「さぁ、行こうか」



綱吉はその顔に笑みを張りつけたまま立ち上がり、
ベルフェゴールも綱吉と並んだ


綱吉の運転する車に乗り込んで二人で今から潰すマフィアの本部に向かう
目的地に着き車を降りた綱吉は



「やっとストレス発散出来るよ」



そう笑い軽い足取りで敵対マフィアの本拠地に入って行った



「ベル、逃がさないように
出入口全部にワイヤー張っといてくれる?」



「了解〜それよりさ、
綱吉今日は武器なに持ってきてんの?」



綱吉は普段銃を使う
気分が良い時は鞭
銃は不得手だから手加減が一番楽だ、と言っていたが
彼がその的を外したのを誰も見た事が無い


ベルフェゴールの問い掛けに綱吉はん〜?と言いながら振り替えると



「コレ」


と自身の両手を少し上げて見せた



「・・・・マジ?」



その手には黒いグローブがはめられていた



「今日はコレしか持ってきて無いんだ」



「あ〜、俺外に居るから」



「ん、解った」




建物の外に出て、言われたとおりワイヤーで出口を全て塞いだ


たとえ味方でもあの中に入って行くのは賢明ではない


『理性が殆ど飛んでるから』


綱吉自身が言ったように、一度スイッチが入ってしまえば
あれは人と言うより獲物を狩る残虐で美しい獣








.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ