long.001

□要注意猫
1ページ/1ページ




またあの変なのが来た

最近がアレに対しての第一感想だ



今日は珍しく銀色の飼い猫も、金色のお隣の猫も、黒の三匹も居ない

ああ静かだなぁと
何時もは隣か膝の上に猫を乗せて座り込む縁側に一人で座り
静かに昼寝でもしようか、とそれまで開いていた本を閉じ
暖かい日差しにうつらうつらしかけた時だった



「にゃぁあ」



声がしたのだ
しかも自分の真横で

綱吉はその聞き覚えのある鳴き声に
直ぐに横に目線を向けた



「やっぱりお前か」



綱吉は苦笑を溢すと
横にちょこんと座っていた藍色の背を撫でた



「骸はいっつも突然来るよなぁ」



骸と呼ばれた猫は返事でもする様に
長い尻尾をゆるりと一度、大きく振ると
さも当然と言うように綱吉の膝の上に移動した


綱吉ももう慣れているため、退かそうなどとはせず
骸のやりたいようにさせていた



骸は一種特殊な猫だ

紅と藍色のオッドアイの瞳も初めて見たが
性格もそこらへんの猫より一癖も二癖もある


出会いも印象的だ

恭弥と喧嘩をしているところを偶然見付け
血をダラダラ流しながら戦う二匹に驚いて
直ぐさま引き離し暴れる二匹をひっつかんで
慌てて家に連れ帰り傷の手当てをしたら懐かれた

今だに恭弥との仲は
こっちが絶対会わせてはならないと躍起になる程には険悪だ



(ああもう、なんでこう家に来る猫は好戦的な奴が多いかなぁ)



思い出してついついため息が出る
俯いて猫背になってしまうのも仕方ないだろう


綱吉がぼんやりと庭を眺めていると
イキナリ何かに顔をベチベチと叩かれた



「うわっ!!」



驚いて意識を戻すと
膝の上に座り込んだ骸がその長い尻尾を
ベチベチと綱吉の顔に叩きつけている



「骸っ!!分かったから!ちゃんと相手するから!!」



その言葉を聞くと骸はまたおとなしく綱吉の膝の上に座り
こちらを向いて早く構えと言うかのように、短く鳴いた



綺麗で手触りの良い毛をゆっくりと撫でてやる
おとなしく好きに触らせてくれるから
やはり気を許してくれているのだと思うと嬉しい


(好かれて嫌な気分にはならないもんなぁ・・・・)



気持ち良さそうに目を細める骸に
何だかんだ言って癒されつつ
一匹と一人はのんびりと縁側で日向ぼっこを楽しんでいた


一番陽が当たり、ぽかぽかと暖かい

そして、やはり暖かくなってくると眠くなる






(・・・・なんかうるさい)


何時の間にか縁側に寝そべり
夢の世界に入っていた綱吉は
何か騒がしい気配を感じ
重い目蓋を開けて体を起こした



「・・・・っぅわぁぁあぁ!!」



思わず叫んでしまったが仕方ないだろう

庭では自分と縁側で寛いでいた筈の骸と
絶対骸と合わせとはいけないと決心までした恭弥が
結構ヤバイ位にボロボロになりつつ喧嘩していた



「何やってんだ−−−−っ!!」



綱吉が必死に二人を引き剥がしにかかり
また二匹が説教を長々受けながら治療され

それに帰ってきた飼い猫が嫉妬を燃やすのは
また別の話だ








.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ