long.001

□猛猫遭遇
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綱吉は飼い猫と自分の食料がつまった買い物袋を片手に
スーパーからの道を一人歩いていた

途中までは飼い猫のスクアーロも一緒だったのだが
帰り道にベルとどこかに行ってしまった


(まぁ、二匹とも
綱吉の前で喧嘩をすれば叱られるのを
身に染みて知っているから
綱吉の目が届かない所に行っただけなのだが)



あまり多くもない荷物を手に
家までの道を歩いていると
ふと目の前を黒いものが横切る



「・・・・?」



気のせいかな、とやり過ごそうしたが
斜め上の塀の方から視線を感じた



「あ〜ザンザス」



「・・・・」



塀の上に座りこちらを睨み付けている黒猫が居た
(睨み付けているように見えるが実際は見てるだけだ)
大きな体に猫にしてはなかなか怖い顔には傷まで付いている

その黒猫に綱吉はにこりと笑いかけると
荷物を持っていない方の手をザンザスに伸ばした



ここでもし綱吉以外の人が居たなら
必死になって綱吉の行動を止めただろう

ザンザスはこの辺の人なら皆知ってる程に手が付けられない
(触ろうとするのは愚か目が合ったり
果ては機嫌が悪いときに近くに居ただけで
病院にお世話にならなければいけないような怪我をさせられるほど)
暴れんぼうな・・・・
まあ言ってしまえば狂暴なことで有名だった


そんな猫に手を伸ばしている人が居たら
止めるだろうが此処には生憎綱吉一人しか居ない



「結構久しぶりかもな〜
元気だったか〜?」



しかし綱吉はザンザスの頭に手を置くと
ぐりぐりとその頭を撫でてザンザスに話し掛けた



「にゃあ」



ザンザスは短く一鳴きすると
短い尻尾をピンと立てる



そっか〜元気か〜などと言って頭を撫でていた綱吉は
買い物の途中だった事を思い出して
ザンザスの頭から手を退けた



(スクアーロ先にもう家に着いてるかも)



「じゃあな、ザンザス」



ザンザスとのふれあいを果たした綱吉は
そう言ってひらひらと手を振って歩きだす

ザンザスはぴくりと耳を動かしたが
すぐにひらりと塀の上から綱吉の肩に飛び乗った



「うわっ!」



綱吉はいきなりのことに驚いたが
ザンザスが気を付けたので爪が食い込む事もなく
少しよろけただけで済んだ



「・・・・もしかして着いてくるのか?」



綱吉が肩に乗っかり降りようとしないザンザスに聞けば
ザンザスはもちろん、とでも言う様に
にゃぁ、と鳴いてみせた



「いいけどあんまりスクアーロと喧嘩するなよ〜」



綱吉は仕方がない、と取り敢えずは
ザンザスと会うたびに何故か傷を作る飼い猫の心配をした



(ただし綱吉がソレを
仲が良い者同士のジャレ合いだと思っている時点で
彼の飼い猫であるスクアーロは
この先も確実に傷を増やしていくのだろう)










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