long.001

□Hold me tight(1)
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まだ幼い、少年だった
けど彼のその紅い瞳には、強い意志と誇りが感じられた





まだ建てられてそんなに起ってない真新しい墓
そこに二人の人物が立っていた



「あぁそうだ俺と一緒に来ない?」



不意に思いついた事をそのまま口にすると
少年は一瞬驚いたようにこちらを見たが
直ぐに眉を寄せ目を細めてこちらを睨んできた


言いたい事は良く解る

というか、うん・・・・読心術や超直感なんか使わなくても
そのはっきりと歪められた眉が物語ってる



「いやいや本気だよ?
そんな不審者見る目で見ないでお願いだから」



手をひらひらと振って気の抜けた笑みを浮かべる

少年は男のその様子を見ると興味を無くしたように
フイッと目を逸らした




まだ幼い10才そこそこの子供にしては
鋭過ぎる眼光と無表情に加え口数の少なさ
放つ威圧的な雰囲気が恐れを抱かせる少年は

今日(5分前)初対面にして先程一緒に来ない?宣言を発した
色素の薄い髪と琥珀の瞳の青年を無視することに決めたようだ



「ねぇちょっと無視は止めて欲しいなぁ」



青年はへらへらした笑いを浮かべる
それでもまったく反応が無い少年に
うーん、と暫らく考えるような素振りをすると

何か閃いたようににっこりと笑い



「まぁお墓で立ち話もアレだし
まずはお互いを知ろうか」



などと言うと呆然としている少年の手を掴み
軽い足取りで街の方へと少年をひっぱっていった



「お前はなんなんだ」



引きずり込まれたカフェに向かい合って座らされ
勝手に注文もすませて
此処のがこの辺で一番美味しいんだよ〜、食べてみてよなどと
目の前に置かれたケーキにフォークを刺し
二人分用意されたケーキ(ご丁寧にこちらの分まで注文していた)を勧めてきた青年に


少々不機嫌オーラを濃くした少年が初めて口を開いた



「あ、自己紹介まだだったっけ」



ぱちぱちと数回瞬きをし
口に入ったケーキを飲み下してから
青年はそう言って初めて名乗った



「初めまして、ザンザス
俺の事はボンゴレって呼んでよ」



「なんで俺の名前を知ってる」



教えた覚えもないものを知ってる青年にザンザスは警戒を強めた
ただでさえ今日墓で会ったばかりだ


威圧的な雰囲気を強くしだしたザンザスに
ボンゴレと名乗った青年はさらりと問題発言をよこした



「それくらい知ってるよ
だって俺ザンザスの叔父なんだし」



ザンザスは今度こそ盛大に顔をしかめたが
既に慣れてしまった男はにこにこと笑いながらケーキを食べ続けていた









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