long.002

□粉雪
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「貴男が頼んでさえくれれば
幾らでも死体なんて作れたのに」




無表情のまま、微かにそのオッドアイが物騒な光を放った
まずはどんな反応を返せば良かったのか

たっぷり時間を置いて、取り敢えず挨拶をした



「久しぶりだね、骸」



「はい、本当に
5年ぶりなんですよ、ボンゴレ」



「それで?そのボンゴレの屋敷に乗り込んで
お前は何がしたかった?」



「貴方の首を頂きに」



その言葉通りに六道骸は
どす黒いオーラを撒き散らし武器を構える



(やる気満々って顔)


(ホントこいつマフィアが嫌いなんだな)



取り敢えずこいつ相手じゃ銃なんかでは通用しないか、と
常に持ち歩いているグローブを付けた


そうして準備をして改めて六道骸を見れば
彼はそのオッドアイを揺らし
形の良い眉を歪め、泣きそうになっていた




「・・・・骸?」



どうしたらいいのか分からない

先程戦う素振りを見せたと思ったら
今は責めるような目でこちらを睨み付ける



何故か申し訳ない気分になって
そのまま自分より高い位置にある濃い群青の頭を撫でてしまった



自分自身も突拍子も無い行動と
あんな頼りない表情を自分に見せた六道骸に
困惑で焦るばかりだったけど
何故か目の前の敵として現われた筈の目の前の男が、自分に危害を加えないと思った



六道骸といえば俺以上に困惑しきった表情で
武器を持ったままつっ立って居る



「貴方の墓がありました
知らないうちに何処かのヒットマンに殺されたと思って調べたら
事故死だと分かりました

馬鹿だ、と嫌味の一つでも言いたかった
そしたらイタリアで、ボンゴレに十代目が襲名したと聞きました」



だから・・・・、と擦れる声で弱々しく呟いたと思ったら
俺の肩に頭を預けて黙り込む
暫らくして肩に濡れた感触と
小さな、本当に小さな声で
どうして僕を連れて行ってくれなかったのか、と責められる



お前がマフィアを嫌ってるのを知ってたから、とは
迷子みたいに不安そうなこの男には言えなくて


代わりにごめんな、と言って頭を撫でると
背中に手を回されて抱き締められた










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