long.002

□サンディ
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見てはいけない
忘れなきゃいけない

だってアレは、違う世界





ツナが死んだ
皆みんな泣いて、悲しんで
でも最後のお別れはさせてもらえなかった

顔が潰れてたんだと、大人達が言っていた
誰かも分からない様な状態だって
見ちゃいけないよって、最後に顔を見ようとしたのを
ハルが腫れた赤い目で止めた



綱は焼かれて灰になって、白い骨だけ残って

それも冷たい土の中に埋められた




何時も賑やかな部屋はしんとしていて、中々寝付けなくて
そんな時何時も潜り込んだツナの部屋は真っ暗で

悲しくて淋しくて


泣いても何時も優しく撫でてくれる手も泣くて

嫌で悲しくて淋しくて、涙でグシャグシャになりながら
バズーカを撃った



白く染まる世界

見えたのは豪華な部屋
何時もと違う感じの部屋

キョロキョロと辺りを見回すと
椅子に誰かが座っていた



「今日和、小さなヒットマン」



彼はにこりと優しく笑うと、ゆっくりこちらに歩み寄って
優しく頭を撫でてくれた


この温もりは知ってる

はっとして涙でグチャグチャになった視界を直そうと
服で涙を拭った


はっきりと見えるようになった視界
目の前に居たのは
長い色素の薄い、暖かい色をした髪と
琥珀色の眼をした男



「ツナ・・・・?」



身長だって、髪型だって、顔だって違ってたけど
間違いなくツナで


訳が分からないのと、安心したのとで
またボロボロ泣いてしまった
ツナのような人がずっと優しく頭を撫でてくれて

それにどうしようもなく安心してしまって



何時の間にか寝てしまっていたらしく
目が覚めたら暗い部屋に居た



十年後のツナに会ったと言うと
大人達は悲しそうに笑って頭を撫でていった

それは此処とは違う未来なんだよって




もう見てはいけない
忘れなきゃいけない

だってアレは、違う世界


それからは十年バズーカを使わなくなった

もしまた会えても、帰った時に
あそこで会えた大好きな人は、違う未来のあの人なのだと
思い知るだけだと、知ったから











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