long.002

□藤沢ルーザー
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リボーン(ボス候補/13)
沢田綱吉(家庭教師/25)









不意に、あいつとの出会いをボンヤリと思い出した


フワフワとあちこちに跳ねた少しだけ淡い色の髪と
琥珀色の瞳を帽子から覗かせて
高そうなスーツをピシッと着こなした男は
髪と瞳以外どこもかしこも真っ黒な出で立ちで玄関に立っていた



「ciao、今日から住み込みで家庭教師をさせて頂きます綱吉です」



思えば、ニッコリと人好きする笑みでそう言った男を
追い返さず家に上げた時点で俺の人生は大きく変わったんだろう






「おい、綱吉」



「ん〜?」



部屋の隅、黒いアタッシュケースから
ギラリと光る銃やらナイフやらを取り出し広げ始めた家庭教師は
こちらを見向きもせずそれらの点検や手入れに勤しんでいた



「・・・・銃等法違反はどうした」



「マフィアの次期ボス候補がちっさいこと気にすんなよ」



やっとこっちを見た奴の目は面白そうに細められている
カチャカチャとそれまで弄っていた銃を持ち上げ
見せ付ける様に軽くキスを落とす
ふざけてわざと立てたのであろう、リップ音が嫌に響いた



「銃は相棒だって教えただろ?
扱いは丁寧に、慎重に、だ」



ニヤリと笑ったその顔は、凄腕のヒットマンのソレで
ゾクリと背中が粟立った

そして思う



(嗚呼、欲しい)



このヒットマンが、この男が、欲しい



「欲は身を滅ぼすよ、リボーン」



読心術さえ使うこのヒットマンにはこちらのことなど筒抜けなのだろう
より一層口元を挑発的に吊り上げたが、目は面白い、と笑っていた



「ほら」



ポン、といきなり投げられたものをキャッチすると
それは先程まで綱吉が触っていた黒い銃



「それならやるよ」



大事にしろよ、と言った綱吉はカチャカチャと他の武器を片付け始めた



「お前は」



「お前はどうやったら俺のモノになるんだ?」



そうだ、今のこいつは偶然この仕事を受けた元々はフリーのヒットマンだ
依頼が終わればまた新しい仕事に就くのだろう
でも俺はコイツを手放す気なんか更々無い



「俺はフリーが合ってるんだよ
それに・・・・」



パチン、とアタッシュケースが閉まる音
下を向いていた琥珀の瞳が此方を射ぬいた



「俺は俺の認めたボスにしか忠誠は誓わないよ?」



ギラリ、と
真っ直ぐに冷たい目が
お前に出来るか、と問いかけてきた



「甘く見んじゃねぇぞ」



そう言って先ほど渡された銃に
家庭教師がやったように軽く口付けた



先はまだ長そうだ
諦める気は更々無い












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