long.002

□七里ヶ浜スカイウォーク
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綱吉(年上の兄弟子)
ディーノ(年下弟分)










あの人に憧れていた
あの人の隣に、近くに、在ることを許される立場に居たかった
恋なのか、それをとっくに越えてしまった只の執着なのか分からないまま
ズルズルと俺はここに居る



(あ、見付けた)



きらびやかなシャンデリア、高価な装飾品や派手なドレスで着飾った女
それを自慢げに連れた富や名声で自分を誇張した男達


色のくすんだ熱帯魚の群れに放り込まれたみたいにチカチカした視界の中で
俺は直ぐに彼を見付けた

最初に見た時よりも茶色からだんだん金色を帯びてきた髪
白い、決して派手ではないけれど上質なスーツ
嫌味のないシンプルな装飾品に飾られた
愛しい俺のただ一人の兄貴分


彼の色彩は驚くほど大人しく
けれど誰よりも目を引き付けた



「ciao、愛しい弟分」



直ぐに俺の視線に気付いた彼は
人混み等気にしないような優雅な足取りで俺の前に現れた



「お久しぶりです、ドンボンゴレ」



本当は今すぐ彼に抱き着いて
久し振りに会えた兄貴分に思いっきり甘えてしまいたいけれど

他のファミリーのボスや幹部が居るこのパーティーのなかではそれは許されない

まして彼はあのドンボンゴレだ
この会場中が彼に注目するなか
まだまだ若輩者の彼の傘下のファミリーのボスが、彼に軽々しく接するこてなんて出来る筈がない



(嗚呼、でも我慢出来ない)



本当に久し振りに顔を見れた
だって彼は忙しい身で、折角彼を追ってなる気なんかなかったマフィアの十代目の椅子を勝ち取って
がむしゃらにここまで来たのに
走ったら走ったら分だけ彼がどれ程前に居るか突きつけられるような状況だから



(ツナ不足で死にそう)



そんなことをグダグダと考えているとため息が出そうになった



「ディーノ、随分疲れてるね」



その言葉に前を向いたら
ツナが困ったような、可笑しそうな表情で笑ってる



「根の詰めすぎは良くないよ」



「いえ、そんなじゃないんです・・・・ただ・・・・」



「ただ?」



「〜っいえ、何でもないです」



まさか中々貴方に会えなくて我慢の限界なんです、とは言えないディーノは
うやむやな返事を返すしか出来なかった

どうしよかと視線を泳がせて焦るディーノを前に
綱吉はディーノの眩しいばかりの金髪の頭を
小さい子にするようによしよしと撫でた


ディーノが驚いて顔を上げると
綱吉は柔らかな笑みを浮かべていた
それを直視してしまったディーノは、顔に熱が集まるのを自覚しながら
彼から目を離せなかった



「いつでも遊びにおいで
大切な俺の弟分」



「近々遊びに来てくれるかい?
最近顔が見れなくて寂しかったよ」



この人は俺の思ってることなんかお見通しで
こうやって俺の一番欲しい言葉をくれるから


柔らかな笑顔で一番のご褒美を貰ってしまった俺は
恥ずかしさと嬉しさで顔が真っ赤になってしまって
それ以上彼と目を会わせられなくて
うつ向いたままコクコクと首を降った



(嗚呼、幸せだ!)



まだまだ距離は遠いけど
時々貰える上等なご褒美と
目標を諦める気にはまったくなれない













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